非意識的な傾向を変化させる第一歩は,行動を変えることである。非意識的なレベルで偏見を持っているのではないかと心配な人は,可能な限りいつも,偏見の無い方法で行動するよう最善を尽くすことが出来るだろう。そうすることで,2つの方法で自動的なレベルの変化を導きうる。第1に,先に述べた自己知覚過程に従って,行動から非意識的に,自分は偏見のない人であると推論する機会が得られる。すなわちそれは,態度と感情を推論するための新しい「データ」を,適応的無意識に提供する。
第2に,ウィリアム・ジェームズが述べているように,ある行動をすればするほど,それはより習慣的で自動的になり,努力と意識的注意を必要としなくなる。社会心理学の変わらぬ教えの1つは,態度や感情の変化にしばしば行動変化が先行することである。このように,自分についての意識的概念に一致するように行動を変えることは,適応的無意識に変化をもたらすよい方法である。
ティモシー・ウィルソン 村田光二(監訳) (2005). 自分を知り,自分を変える 適応的無意識の心理学 新曜社 p.277
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