最後にネット世代に向けたアドバイスを送りたい。
1.大学へ行こう。そこは,高校よりはるかにおもしろい。そして,知識経済の中で成功していくためには学歴が必要だ。いずれにせよ勉強は一生を通じてしていかなければならない。小説を読んで心を豊かにしよう。ライティングと文法のスキルを磨こう。ネットでのスラングを学校や職場で使うのはやめよう。場を考えることが大事だ。
2.職場では忍耐強くしよう。特に旧式のテクノロジーそして,官僚主義的なものの進め方について言えることだ。すぐに辞めてしまうのではなく,しばらくは会社に留まり,変化のために行動しよう。ネット世代には価値がある。ネット世代のコラボレーションに関する知識がイノベーションと今世紀の成功を推進する。ベビーブーム世代は良き仲間だ。彼らにはネット世代の子供がおり,そのテクノロジーの活用法を理解している可能性が高い。仕事と生活を分離すべきでないという考え方は正しい。2つは両立するものだ。
3.悪い製品を買ってはいけない。企業に誠実に行動させるようにしよう。ネット世代には,企業のやり方を精査して,共同で対抗できる力がある。企業を丸裸にできる。これは企業にとっても良いことだし,他の誰にとっても良いことだ。企業が自らを磨くことになるからだ。
4.家族で夕食を取ろう。子供たちといろいろな価値観について話すには最適な場所だ。子供たちのオンラインでの安全性とプライバシーを守るために,そして,子供たちが適切な生活バランスを維持していけるように,子供たちと話し合うことが必要だ。子供たちは不適切な行動を取らなくなる。そして親は子供たちの行動を詮索したり,過保護になったりしないことを約束すべきだ。
5.経験を軽視してはいけない。何か重要なことの権威者であっても,すべてのことの権威であることはない。企業に入社すれば,年長世代に教えることも数多くある一方で,彼らから学ぶことも数多くある。もし,その組織でうまくやっていけない場合には,起業家,活動家,教師などその経験を生かせる選択肢はいくらでもある。
6.“かけがえのない人生”の原則に従って生きよう。人生は一度きりだ。大切にしよう。金がすべてでないというのは正しい。もちろん,経済的に豊かになるのは重要だが,未来にはそれ以上のものがある。子供が引き継ぐことになる世界について考え,良い場所にするために何ができるかを考えよう。地域コミュニティに参加しよう。政治活動に参加しよう。正しいことを実行しよう。
7.最後まであきらめてはいけない。年長者がネット世代を批判する時はそれを個人的な悪口と受け取ってはならない。ネット世代は最も賢い世代だ。本当だ。そして,最初のグローバルな世代でもある。この世代ならば世界をより良くしていくことができるはずだ。他者に手を差し伸べ,辛抱強く,理想を実現していこう。
ドン・タプスコット 栗原潔(訳) (2009). デジタルネイティブが世界を変える 翔泳社 pp.457-458
PR