成功とは,社会学者が好んで呼ぶ「累積するアドバンテージ」の結果である。プロのアイスホッケー選手は最初,同じ年齢の仲間よりほんのちょっとだけホッケーが上手だった。そして小さな差が好機を招き,その差が少し広がる。さらに,その有利な立場が次の好機を招く。こうして,最初の小さな差がますます大きくなり,延々と広がって,少年は本物のアウトライアーになる。だが,この少年はもともとアウトライアーだったわけではない。ほんのちょっとホッケーがうまかっただけだ。
ホッケーの話が次に教えてくれるのは,成功者を効率よく選ぼうと私たちがつくったシステムには,じつはあまり効果がないことだ。才能を見逃さないための最善の方法は,できるだけ早期にオールスター選手を集め,英才教育を施すことだと考えがちだ。だが,チェコのサッカーチームのメンバー表をもう一度見て欲しい。7月と10〜12月生まれの選手はおらず,8月と9月生まれがひとりずつ。7月以降に生まれた選手はほとんどが,諦めるよう説得されたか,見落とされたか,解雇された。チェコでは,基本的にサッカー人口の半分の才能が浪費されている。
マルコム・グラッドウェル 勝間和代(訳) (2009). 天才!成功する人々の法則 講談社 p37.
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