社会心理学の膨大な研究は,人々が,他者のちょっとした行動からでも属性を推測する強力な傾向があることを示している。すなわち,人は酌量すべき状況的要因があってもそれを適切に考慮せずに,他者の行動からその人がどのような人物なのかという結論まで飛躍してしまいがちなのである。
しかし
概して,自分が孤立していることに気づいている他者は思ったより少ないかもしれない。孤立していることを否定的に見ている他者はもっと少ないかもしれない。実際,最近の研究は,人はそのような状況では自分の行動を監視することに忙殺され,自分の行動が他者の目にどのように映っているか判断するのがむずかしいことを示している。特に,肯定的,否定的いずれの意味合いをもつ行動でも,人はいっしょにいる他者が自分の行動に気づいたり覚えている可能性を過大評価してしまうようである。
T.ギロビッチ,J.クルーガー,& K.ザビツキー (2001). 日常生活の中の自己中心性と対人的問題 R.M. コワルスキ&M.R.リアリー(編著) 安藤清志・丹野義彦(監訳) 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして 北大路書房 72-105.
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