バリー・シュワルツ教授によると,これに似た個人差も存在し,何か購入するたびにありとあらゆる情報を手に入れ,吟味したうえでなければ何の決断もできない「最大効果の追求派」もいれば,ある程度の情報が入ればそれをもとに決断する「適度でオーケー派」もいる。これは,車や家の購入時に最も顕著であるが,最大効果の追求派対適度でオーケー派という面での個人差と幸福感との関連も面白い。
まず,最大効果の追求派は,適度でオーケー派より幸福度が低く,うつ傾向が強い。またこの関係は,最大効果の追求派が自分と他の人を比較する傾向が強いところからきているという結果が出ている。また,ありとあらゆる情報を手に入れてよりよい選択をしようと試みる最大効果の追求派は,ある程度の情報をもとに決断を下す適度でオーケー派に比べて,皮肉にも,その決断に後悔することが多いという。つまり,考えれば考えるほど,選ばなかった選択肢のことが気になり,もし別のものを選んでいたらどうだっただろうという発想が出てしまうらしい。
大石繁宏 (2009). 幸せを科学する:心理学からわかったこと 新曜社 pp.132-133
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