たとえば,遺伝しないガンがあるとしよう。そのガンはランダムに起こる。そして,かかるのは人口の0.5%。まれな病気なのだ。ところが,廃棄物処理場のそばに住んでいる一家の子ども3人がこのガンにかかる。こんなことは偶然には起こりそうにないので,私たちは,廃棄物処理場のそばに住むのは危険だと言うかもしれない。何しろ,無作為に選んだ3人のきょうだいがそろってこのガンになる確率は0.05^3,つまり8000分の1である。これは,間違いなく,たいていの人が考える,偶然には起こりそうにない出来事の定義に合う。だが,米国ほどの大きさの国では,子どもが3人いる家族は100万世帯を越える。そして,これだけの家族のうち,子どもが3人そろってガンになる家族は8000世帯に1つと予想される。つまり,100万世帯のうち125世帯だ。
バート・K・ホランド 林 大(訳) (2004). 確率・統計で世界を読む 白揚社 p.120-121.
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