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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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人気があるから意味がある?

 今日では,エクスナーの共著者であるアーヴィング・ウェイナー(Weiner, I.)がいまだにロールシャッハテストの人気こそがその有効性の証拠であると指摘している。「アメリカでは,メンタルヘルスの専門家がパーソナリティを査定するのに,ミネソタ多面人格検査(MMPI)を除けば,ロールシャッハ・インク図版検査がもっとも多く用いられている。ロールシャッハテストが現在まで生き続け成功をおさめてきたのは,さまざまに異なる文化の多くの心理学者が,クライエントを援助するのに役立つと考えたからである」。
 ここでウェイナーは2つの論理的誤りをおかしていると考えられる。第1に彼は,今述べたばかりの広く受け入れられていることに基づく論証の誤りに陥っている。第2に,ある信念や技法が長い間生き続けたという理由でそれが正しいと考える,論理学者が「古くから続いていることによる論証(ad antiquitem)」とよぶエラーをおかしている。星占いや手相占いのような多くの方法は何世紀も昔から広く行なわれ続けているが,それらには妥当性はまったくない。ロールシャッハテストが広く行なわれているとウェイナーが言ったことはその通りである。私たちが言いたいのは,ロールシャッハテストは,臨床家たちの間で広く用いられていることからではなく,科学的証拠に基づいて評価されるべきだということである。

J.M.ウッド,M.T.ネゾースキ,S.O.リリエンフェルド,H.N.ガーブ 宮崎謙一(訳) (2006). ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議— 北大路書房 pp.257-258
(Wood, J. M., Nezworski, M. T., Lilienfeld, S. O., & Garb, H. N. (2003). What’s Wrong with the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test. New York: John Wiley & Sons.)
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