包括システムの最近の問題を軽視したり,言い訳したりして,その訓練をし続けている大学院課程は,次のような多くの語られないメッセージを学生たちに伝えていることを銘記すべきである。
・未出版の,公共の吟味にかけることができない研究を参照することによって,科学的議論を強化してもよい。
・データに重大な誤りがある場合,それを他の科学者が吟味できないように隠してもよい。
・よく研究されていないうつ病尺度を臨床現場で使用する目的で売り込んでもよい。またこの尺度が多数の追試研究で支持されなかったとしても,それが妥当であると主張してもよい。
・検査スコアが独立の研究チームの追試によって支持されなくても,それを法廷に持ち込んでもよい。
・あるテスト基準が毎日多くの患者に対して用いられていても,その基準に問題があることを公表することを何年間も差し控えてもよい。
次の世代の臨床心理学者のために,よりよい職業的および科学的営みのモデルが示されるべきであるという私たちの提言が,極端にすぎるとみられることがなければよいのだが。
J.M.ウッド,M.T.ネゾースキ,S.O.リリエンフェルド,H.N.ガーブ 宮崎謙一(訳) (2006). ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議— 北大路書房 p.252
(Wood, J. M., Nezworski, M. T., Lilienfeld, S. O., & Garb, H. N. (2003). What’s Wrong with the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test. New York: John Wiley & Sons.)
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