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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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ロールシャッハテストの過剰病理化の例

 皮肉なことに,エクスナーの本には,包括システムの過剰病理化のおそらくもっとも顕著な例が載っている。ロングアイランド大学のビアトリス・ミットマン(Mittman, B.)は,1980年代初めにエクスナーの指導のもとで研究を行ない,ロールシャッハ・プロトコルを,ロールシャッハ・ワークショップに参加したことがある90人に送った。これらの心理学者たちはプロトコルを,「正常」を含むいくつかの診断カテゴリーに分類するように求められた。プロトコルのほとんどは精神病患者のものだったが,いくらかの非患者の大人のものも含まれていた。
 ミットマンが得たのは困った結果だった。全体的に,包括システムを用いた心理学者たちは,明らかに正常と思われる人々の75%以上を精神病者と診断したのである。もっとも多く与えられたまちがった診断はうつ病,その他の情緒障害,人格障害などであった。たとえば心理学者たちは,非患者のプロトコルの12%を「主要情緒障害」に,23%を「反応性うつ病」,43%を「人格障害」に分類した。これらの結果は,心理学者が明らかにロールシャッハテストを用いると異常を過大に評価する傾向があることを最初に明らかにした1950年代の研究を思い起こさせる。

J.M.ウッド,M.T.ネゾースキ,S.O.リリエンフェルド,H.N.ガーブ 宮崎謙一(訳) (2006). ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議— 北大路書房 pp.210-211
(Wood, J. M., Nezworski, M. T., Lilienfeld, S. O., & Garb, H. N. (2003). What’s Wrong with the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test. New York: John Wiley & Sons.)
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