ロールシャッハテストのスコアリングが,心理学者の間で一致しない場合があることはまちがいないことである。この本の著者の1人は,仲間たちの間での次のようなおもしろい不一致を観察した。あるとき,1人の大学院生が,ある患者が図版の1枚に対して「ブラ」と答えた反応をどうスコアリングしたらよいものか尋ねた。男性の心理学者は,それは「性」反応とするべきだとしたが,何人かの女性の心理学者は「衣服」反応だと主張した。この場合,スコアリングは患者についてだけでなく,心理学者についての投影法検査になっているといえる。
J.M.ウッド,M.T.ネゾースキ,S.O.リリエンフェルド,H.N.ガーブ 宮崎謙一(訳) (2006). ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議— 北大路書房 p.202
(Wood, J. M., Nezworski, M. T., Lilienfeld, S. O., & Garb, H. N. (2003). What’s Wrong with the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test. New York: John Wiley & Sons.)
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