30年ほど前から始まったいくつかの社会的潮流が,迷信や超常現象信仰を広めるのに役立っている。1970年代から80年代に盛んになり,今日もまだ続いているニューエイジ・ムーブメントは,西欧の科学技術,既存の宗教を拒絶し,古くからの迷信をよみがえらせると同時に,新しい迷信も取り入れた。ニューエイジ信奉者たちは,宇宙に存在する英知や,何世紀も前に存在していた人物と交信できるという「チャネラー」のもとを訪ねたり,魔法の水晶を使ったり,手で触れて病気を治すという異端的な治療法を支持している。霊魂が生まれ変わることや,占星術,数秘術,超感覚的知覚,つまり超能力(ESP)も信じられている。ニューエイジ雑誌はいくつも出版されており,ニューエイジ系書店の数は1982年から87年の間に2倍に増え,アメリカ国内で2500店に達している。女優のシャーリー・マクレーンはニューエイジ・ムーブメントを代表する人物として,これまでに5冊の著作を世に出し,合計で800万部以上が売れている。
スチュアート・A・ヴァイス (1999). 人はなぜ迷信を信じるのか 思いこみの心理学 朝日新聞社 p.30
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