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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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フロイト理論がロールシャッハテストに与えた影響

 フロイトの理論は複雑で広い範囲に及ぶものだったが,次のような彼の3つの考えが,1940年代と50年代にロールシャッハテストに特に影響を与えた。その1つが,人間の思考と行動は無意識の動機によって強く影響されるという考えである。フロイトによると,思考と行動の理由は無意識の中に埋もれているので,人々はなぜいろいろなことを考えたりしたりするのか本当のところを知らない。
 第2にフロイトは,心理異常における無意識の要因を重視した。精神分析理論によると,多くの精神病患者の問題は,彼らが,特に幼児期に両親に対して感じていた,無意識のうちの性的・攻撃的衝動に原因をたどることができるとされる。
 フロイトの重要な考えの第3は,人の心の奥底にある無意識の葛藤が,象徴的な形で(シンボルとして)夢に表れるというものだった。精神分析家は,夢のシンボルの意味を解釈することによって,患者の無意識の中をのぞき見て,その衝動と葛藤についての洞察を得ることができるとフロイトは説いた。
 精神分析理論が無意識を重視したことは,自己報告式質問紙検査がもつ問題に関係していた。質問紙検査に答えているとき,患者が表すのは自分自身について知っていることだけで,当然のことであるが,無意識の中にあることを正しく表すことはないと考えられた。それに対して,ロールシャッハテストにはこのような限界はなく,患者自身が気づいていないことまでも明らかになると考えられたのである。こうして,精神分析の隆盛は,「単なる」自己報告式の検査への不満を明確にし,心理学者の関心をロールシャッハテストやその他の投影法検査に向けさせることになった。

J.M.ウッド,M.T.ネゾースキ,S.O.リリエンフェルド,H.N.ガーブ 宮崎謙一(訳) (2006). ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議— 北大路書房 p79.
(Wood, J. M., Nezworski, M. T., Lilienfeld, S. O., & Garb, H. N. (2003). What’s Wrong with the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test. New York: John Wiley & Sons.)
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