当然のことですが,毎試合の勝敗というのは得失点差で決まります。打線が何点奪っても,投手陣が弱くてそれ以上に打たれては,敗戦の憂き目にあうわけです。得点数,失点数を見ることも大事ですが,野球の場合,得失点差をしっかり見なければ,勝敗を論じることはできません。
それなのに,最近の新聞記者やアナウンサーは,チーム打率,防御率だけで,そのチームを評価しようとする傾向が強いように感じられます。
たとえば,「チーム打率は2位ですが,最下位なのはどうしてでしょうか」「まあ打っているわけですから,そのうち順位も上がりますよ」などといった中継でのやり取りは,チーム打率が順位ともっとも相関が深いという前提で行われています。しかし実際には,それほど深くないというのが現実なのです。
チーム順位と深い相関があるのは,率でいえば出塁率のほうであり,そろそろ日本のマスコミは打率を好んで使う習慣を改める時期にきているのかもしれません。
小野俊哉 (2009). 全1192試合 V9巨人のデータ分析 光文社 pp.56-57
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