ウェブ2.0サービスが広告型ビジネスを確立できないからといって,いまさら有料化するわけにはいかない。そこで企業が始めたのが,それまでは企業内のシステムで処理していた業務を,クラウド・コンピューティングを利用して行う方法だ。アマゾンやグーグルなどの巨大データセンターを利用すれば,サーバやデータセンター,さらにこれを管理する人件費や電気代などを大幅に削減できる。
ユーザーから見れば,ツイッターというクラウド・コンピューティング・サービスを利用しているが,そのツイッターはアマゾンS3というクラウド・コンピューティングを利用しているのである。
ユーザーにとって,利用するサービスや処理システム,ストレージといったものは,まさにネットの向こうの“雲”のなかにあり,それらが複雑にからみあい,しかもユーザーからは雲に隠れて見えづらくなっている。だが,これがクラウド・コンピューティングの本質なのである。
武井一巳 (2009). 雲のなかの未来:進化するクラウド・サービス NTT出版 pp.21-22
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