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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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バッタの大発生もべき乗則で

 1994年,デール・ロックウッドとジェフリー・ロックウッドの生態学者の兄弟は,この大発生について,以前にはなかったほど詳細な数学的研究を開始した。あなたはもう,彼らが発見したことに驚かないだろう。米国農務省は,アイダホ州,モンタナ州,ワイオミング州の様々な地域で半世紀以上にわたり,バッタの個体数が環境収容力と呼ばれる限界値を超えた地域の総面積を,毎年記録している。大雑把に言って,バッタの密度がこの限界値(1平方メートルあたり約八匹)を超えると,そのバッタの1年間の活動によって,その地域の植物群落の構造に永続的な被害が残ることになる。この値に達した面積の広さが,バッタの大量発生の規模を示すよい指標になる。彼らは,いくつかの地域での発生記録の統計を見て,発生規模の分布がべき乗則に当てはまることを発見した。小規模な発生はよくあるが,大規模なものは稀であった。そして重要な点が,小規模な発生と大規模な発生とでは,その原因に関して意味のある違いはなさそうだということである。べき乗則が示しているのは,一見ささいな原因が,あるときには小規模な発生しか引き起こさない一方で,ときには壊滅的な大量発生を起こすこともあり,そして発生初期の時点での地域的条件をいくら分析しても,その最終的な規模の推定はできないということである。

マーク・ブキャナン 水谷 淳(訳) (2009). 歴史は「べき乗則」で動く:種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 早川書房 pp.158-159
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