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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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原因と言っても

 ほぼすべての歴史学者が,このような問題に関してたびたび言及している。カーももちろんそうである。いかに物事を理解すればよいかということに対する彼の提案については,今でも繰り返し歴史学者たちに議論されているので,我々もそれを見ておくべきであろう。カーは,事実にはもともと階級があると主張した。ロビンソン氏がタバコを買うために,見通しの悪い曲がり角のそだで道を渡ろうとして,飲酒運転の車にひき殺されたとしよう。彼の死の原因は何だったのか?カーはそこから,一般的に適用できる,注目すべき原因を探した。もしロビンソン氏がタバコをほしがらなかったら,彼は死ななかっただろう。これは正しい。したがって,彼がタバコをほしがったことが,この事故の原因である。しかしこれは一般的に適用できる原因ではない。なぜなら一般的に,タバコをほしがることが車にひかれることに結びつくのは,あまりないからである。一方,ロビンソンの死に対する別の一因となった,飲酒運転や見通しの悪い曲がり角は,一般的に適用できる。飲酒運転や見通しの悪い曲がり角の存在は,人がひき殺される可能性を増やすので,これらをこの事故の重要な原因だとみなすべきである。同様にクレオパトラの鼻やペットの猿は,国を戦争に向わせた一因ではあるかもしれないが,その一般的な原因ではありえない。カーは,ここから分かるように,歴史とはおもに一般的に適用できる原因に関するものだと考えていた。

マーク・ブキャナン 水谷 淳(訳) (2009). 歴史は「べき乗則」で動く:種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 早川書房 pp.335-336
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