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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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記憶したすべてに名づける

 17世紀にロックは,個々のもの,個々の石,個々の鳥,個々の木の枝などが固有の名前を持つという,不可能な言語を仮定した(そして否定した)。フネスも一度,類似の言語の発明を試みたけれども,あまりに包括的で,あまりにも曖昧だというので放棄してしまった。実際,フネスは,あらゆる森の,あらゆる木の,あらゆる葉を記憶しているばかりか,それを知覚したか想像した場合のひとつひとつを記憶していた。彼は,過去の日々のすべてを7万ほどの記憶に要約して,あとで数字によって固定しようと決心した。ふたつの考えがそれを思いとどまらせた。この作業は終わるときがないという考えと,それは無益であるという考えである。死のときを迎えても,幼年時代のすべての記憶さえ分類が終わっていないだろうと考えたのだった。

ボルヘス, J. L. 鼓 直(訳) (1993). 記憶の人,フネス 伝奇集 岩波書店 pp.158
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