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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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内向性・外向性

第1に,内向的な人たちは,脳の活動にふたつの違いがあることが関係しているようです。脳の皮質領域は物体や空間,人間などの外界の情報を処理するところで,どんな刺激要因にも強く反応します。一方,外向的な人たちは皮質の活性度が低いところがあり,外界に関与している感覚を得るにはより強い刺激を必要としています。このことが,内向的な人がより浅いレベルの社交活動でも,精神的には消耗しやすく,外向的な人がより強い社会的な刺激を求める原因です。
 一方,外向的な人は社交的な見返り,たとえば笑顔や笑い声,会話,接触などへの反応でドーパミンをより多く分泌する傾向があります。反面,内向的な人はそうした社交的な見返りに反応するシステムの敏感さが弱いものの,問題解決やパズル,単独での探索に伴う精神活動への敏感さが強い傾向にあります。研究者たちは,この傾向が外向的な人がなぜ他の人と一緒にいたり,刺激的な環境にいたりすることでより幸せを感じるかを説明していると述べています。外向的な人は内向的な人よりも,ものすごく強いポジティブな感情を引き出しているのです。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.132
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naches

1000人以上のゲーマーを対象とした最近の調査で,「ナヘツ(naches)」と呼ばれるあまり知られていない向社会的感情が,お気に入りのゲームをプレイして味わいたい感覚の上から8番目にランクインしていました。
 「ナヘツ」とは,イディッシュ語の単語で,自分が何かを教えたり,アドバイスしたりした相手が成功を収めたときに感じる誇らしい感情を意味する言葉です。驚きやフィエロ(快哉感)の次に味わいたい感覚としてランク付けされています。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.127

ゲームと学習

コスターは,ゲーム業界で評判になった『「おもしろい」のゲームデザイン』A Theory of Fun for Game Design という著作で,ゲームは攻略し終えるまでが楽しいと主張しています。「ゲームの楽しさは攻略の過程から,そして理解しようとする過程から生まれる。ゲームは学習が麻薬となるのだ」だからこそ,ゲームにおける楽しさは,つねに成功できるようになると失われてしまうというのです。
 これはある種の矛盾を含んでいます。ゲームは学習して攻略するためのものであって,上達していけば,最終的には成功を収めます。努力を惜しまないゲーマーはうまくならずにはいられません。上達すればするほど,挑戦の度合いが小さくなっていきます。難易度の高い面になると,挑戦度が上がり,「つらい楽しさ」の感覚はしばらくのあいだ続きます。しかし,プレイを続けるうちに上達していくので,超える必要のない障壁は,時間とともに障壁でなくなるのが必然なのです。
 それゆえコスターは,「ゲームの宿命はやがてつまらなくなることにある。より楽しくなることではない。ゲームを楽しくしようとしているわれわれは,人間の頭脳を相手に勝てない戦いを続けているのだ」と指摘するのです。楽しさは,一度確かな成功をつかむところまで到達すると,退屈に形を変えていきます。こうしてゲームは消費可能になります。プレイヤーは,ゲームからすべての学習(と楽しさ)を搾り取ってしまおうとするのです。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.102

時間を減らされるのは嫌

現実世界で,誰かが通常500時間もかかる仕事をあなたに課したとして,それを半分の時間で終わらせる方法を見つけられれば,おそらくあなたは大喜びするでしょう。しかし,ゲームの世界では,多くのプレイヤーにとってすべては満足のいく仕事をどれほどやれるかということであって,250時間に仕事が減らされるのは残念なことなのです。熱心なMMOプレイヤーたちにとって,最高レベルに達する可能性とは,単に彼らが本当に愛すること,つまりより上達することへの没頭を正当化する理由でしかないのです。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.83-84

内発的報酬

私たちの幸福感には,どのような内発的報酬がもっとも必要とされるのでしょうか?決定的な定義はありませんが,関連する学術論文にはいくつかの鍵となる考え方や事例が何度も出てきます。私なりの分析では,ここ10年間のポジティブ心理学の内発的報酬に関する重要な知見は,大きく分けて4つの主要なカテゴリーに分類できます。

 第1に,一番重要なこととして,私たちは,「満足のいく仕事」を日々求めています。この「満足のいく仕事」の具体的な性質は人によって異なりますが,すべての人にとってそれは,明確に定義された,レベルの高い活動で,自分の投じた努力の影響が直接目に見えてわかる仕事です。

 第2に,私たちは,「成功体験,あるいは少なくとも成功への希望」を求めています。私たちは影響力の大きさを感じたいと思い,自分の得意なことを人に見てもらいたいと思います。私たちはまた,成功のチャンスについて楽観的に考え,何かに憧れ,時とともに何かがよくなることを求めています。

 第3に,私たちは「社会的つながり」を求めています。人間は非常に社会的な生き物で,どんなに内向的な人であっても,幸福感のかなりの割合を大事に思う誰かと過ごす時間から得ています。私たちは経験を共有して,つながりを作り,他の人と一緒に何か大事なことを達成することを求めています。

 そして最後に,私たちは「意味」や自分自身よりもなにか大きなものの一部になる機会を求めています。壮大な規模のものへの好奇心や,怖れ,疑問を感じる気持ちを求めています。さらには,私たち個人の生活を超える永久で重大な何かの一員となって貢献することを求めているのです。

 これらの4種類の内発的報酬は,人間の最適な経験の基礎となるものです。これらは基本的な生存欲求(食・安全・生殖)以外で,もっとも強力なやる気の源です。そしてこの報酬すべてに共通しているのは,いずれも私たちを取り巻く世界や環境,他者,あるいは大義や自分自身よりも大きな活動に,深く関わる方法だということです。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.76-77

幸福そのものは

幸福に関するさまざまな理論がポジティブ心理学の分野から生まれていますが,すべてのポジティブ心理学者が実質的に合意ができることがひとつあるとすれば,それは次のことです。幸福に至るには多くの方法がありますが,幸福そのものを見つけられないということです。どんなものも,出来事も,成果や人生の状況も,真の幸福を運んでくれたりはしません。私たちは——自身への見返りをもたらす活動に真剣に取り組むことによって——みずから幸福を生み出さなければならないのです。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.71

フローと幸福

ポジティブ心理学者が論じているように,フローとは幸福の全体図のうちの,ほんの一部分にすぎません。心理学者が研究した最初の幸福の種類ですが,その後も科学は大いに進化しつづけています。エモリー大学の心理学教授,コリー・リー・M・キーズは,「フローは幸せに関する科学の一部であり,すべてではありません。……(中略)……人間の機能の性質や条件というより,むしろ一時的な状態を表しています。フロー状態を持続させる研究は行われていますが,私たちがずっとその状態に居続けられるとは考えていません」と説明しています。
 フローは刺激的な瞬間です。活力を与えてくれます。大きなフローを経験すると,気分のよい状態が数時間,あるいは数日続きます。ですが,フローはあまりに強烈な没入状態のため,結局は私たちの肉体的,精神的なエネルギーを使い果たしてしまうのです。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.67-68

それこそゲームがやっていること

世界全体の幸福の正味量を高める要因が何であれ,何百万人もの人々により良質なハードな仕事を提供することで,人々の心と身体を積極的に活性化することができればどんなにいいでしょう。私たちにはそれができるのです。やりがいがあり,自分でカスタマイズできて,独りでも友達とでも家族とでも,いつでもどこでも取り組めるミッションやタスクを提供することができます。私たちは,人々の取り組みの進捗をいきいきとリアルタイムに報告して,その取り組みが世界にどのような影響をもたらしているのかはっきりと示すことができます。
 これはまさしく,今日のゲーム産業が行っていることです。ゲーム産業は,よりよいハードな仕事を求める私たちの欲求を満たし,適切なときに適切な仕事を自分で選んで取り組む手助けをしてくれます。「勉強ばかりで遊ばないと子どもは駄目になる」という古い格言は忘れてよいのです。あらゆる良質なゲームプレイは,やりがいのある仕事なのです。それは楽しくて自分のために選んでやるハードな仕事です。自分がやりたいと思う仕事に励むことは,心を幸福にするための準備なのです。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.50-51

勝つことよりも続けること

多くのゲーマーは勝つこと——それによってゲームを終えること——よりもプレイし続けることを選びます。フィードバックの強いゲームは,突き詰めていけば勝利の満足感よりも強く没頭している状態のほうが心地よいのかもしれません。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.44

フロー状態

言い換えれば,優れたゲームは,あなたのスキルのもっとも先端のところで相手をしてくれて,あなたのミスを誘う紙一重のところにいます。そしてあなたがミスをすると,もう一度挑戦したい気にさせられます。そのことが,能力の限界ぎりぎりで取り組むことに何より夢中になれる理由です——この状態を,ゲームデザイナーや心理学者は「フロー」と呼んでいます。フロー状態にあるとき,あなたはその状態にとどまりたくなります。途中で止めてもクリアしてしまっても不満足な結果になってしまいます。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.44

ゲームに共通する4特徴

異なるゲームのジャンルや技術的な複雑さを取り払っていくと,すべてのゲームに共通する4つの特徴があります。ゴールとルールとフィードバックシステムと自発的な参加です。
 ゴールとは,プレイヤーが達成すべき具体的な成果のことです。プレイヤーの注意をひきつけ,ゲームへの参加を促しつづけます。ゴールとは,プレイヤーに目的意識を与えるものです。
 ルールは,プレイヤーがゴールに達する上での制約をもたらします。ゴールに達するために一番わかりやすい方法を奪うか,制限を加えることで,プレイヤーはまだ発見できていない方法を模索せざるを得なくなります。ルールは創造性を解き放ち,戦略的な思考を促します。
 フィードバックシステムは,プレイヤーがどこまでゴールに近づいているかを示すものです。得点,レベル,合計点,進捗表示バーなどの形で示されます。あるいは,もっと簡単な形としては,プレイヤーに「このゲームは……になったら終了です」と,単に具体的な成果として知らせるだけのフィードバックシステムもあります。フィードバックが常時示されることで,プレイヤーはゴールに必ず到達できるという気持ちを保ち,プレイしつづける意欲を得ます。
 最後に,自発的な参加とは,ゲームをプレイする誰もがそのゴール,ルール,フィードバックを理解したうえで,進んで受け入れることを意味します。それにより,ともにプレイする複数の人々が共通認識を持つことができます。自分の意志で参加または脱退できる自由があることは,ストレスが多くて難しい課題でも安全で楽しめる活動として経験できることを保証します。

ジェイン・マクゴニガル 妹尾堅一郎(訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が創る 早川書房 pp.39-40

サイコパスはモテる

ここで,ある意味興味深い研究結果があります。サイコパスの傾向がある人は,異性にモテるようです。例えば,ちょっと悪そうに見えるほうが女性には魅力的にみえるのかもしれません。しかし,ヘアは彼らに魅力があったとしても,表面的な魅力に過ぎないと主張していますので,きちんと付き合えば,彼らの魅力が表面的なものに過ぎないのかどうかがわかるはずです。ですから,若い人には,あまり焦らずに相手をよく知ってから結婚してほしいと思います。そして,サイコパスの傾向をもつ人は,結婚にこだわらず,多くの異性との関係をもち,子どもを多くもつ傾向があります。この傾向は特に男性のサイコパスの人において顕著なので,サイコパスの男性は,一般の男性よりもかなり多くの子どもをもつことになります。もっとも,彼らは自分の子供に責任をもたないケースが多いようですので,彼らと結婚した女性は大変な苦労をすることになります。結果として日本では,教養があり慎重なタイプの人の子どもの割合が少なくなり,サイコパスの子どもの割合が増えていくことが予想されるのです。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.83

反社会的な性格

さて,ここで,反社会性パーソナリティあるいはサイコパスの傾向について,私たち全員にとって重要な点について書いておかなければならないと思います。そもそもなぜ,このような傾向のある人たちが存在するのでしょうか?多くの人は,こんな種類の人たちがいないほうがよりよい社会になると考えると思います。こうした危険な人たちが存在する理由についてはいろんな仮説がありますが,中でも理解しやすいのは,進化心理学的説明です。進化心理学によると,それぞれの種の中でも,より生存競争に適した特性のある個が生存競争に勝ち,その種の中でもそうした生存競争に適した特性がある個が増えていくと考えられます。反社会性パーソナリティ障碍にしてもサイコパスにしても,100人いれば,1人はいると考えられますので,彼らの行動特性は生存競争に適していたと考えられます。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.81-82

遺伝子と行動

現在のところ,遺伝子情報で人の特徴のすべてがわかるわけでもありませんし,同じ遺伝子情報であっても,一卵性双生児の2人がまったく同じ個人ではなく,それぞれの特性も異なっていることから,遺伝子情報だけで,どんな人になるのかは説明できません。また,人間はなんといっても,いつでも成長することが可能な存在なので,これからどんな人になっていくのか正確には予測できないでしょう。しかし,例えば,拳銃を携帯することが許されている警官の採用に,遺伝子情報を活用することは是か非かと問われれば,いろいろな考えがあると思います。こうした倫理的な問題については,まだまだ活発な議論がなされていませんが,遺伝子情報で個人の行動パターンの関係がより明確になっていけば,重要な問題になっていくと思われます。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.78-79

自己提示

さらに,パーソナリティ・テストでは,自分自身についての自己概念をどのように自己提示するのか,という点についても考えなければなりません。単純なのは,繰り返しになりますが,人事採用場面において,自分をよく見せるための自己提示を行なう場合があるということを指摘できます。逆に,まれではありますが,特定の場面においては,自己概念を自虐的に自己提示する場合もありえます。例えば,周りからの期待が高すぎて,その高すぎる期待に応えられないと判断した場合,「いえいえ,それほどでもありません」と自己概念を低めに提示することは,日本人にはむしろ習慣にさえなっていると思います。したがって,パーソナリティ・テストの結果を判断する際には,そのテストがどのような状況下において用いられたのか,ということも考慮に入れなければなりません。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.71

準拠集団

まず,準拠集団とは,人が態度や価値を決定する場合や行動指針を求める場合などに,判断の根拠を提供する社会集団のことです。そして,その人の属する準拠集団によって,その人のパーソナリティ・テストの結果も変わってくるのです。例えば,社会の流れに敏感で先進的な仕事を求められる職場と,とても保守的で変化を嫌う職場とでは,その職場に勤めている人自体が異なってくるわけです。そして,普通の人が,先進的な職場に勤めた場合,周りの人と比較して,自分はとても先進的ではないと考え,新奇性探究の得点が低くなったり,逆に,保守的な職場に勤めた場合,新奇性探究の得点が高くなったりするわけです。これをより大きな集団で考える場合,例えば国際比較をする際にも,同様のことがいえます。例えば,新奇性探究が高い人が多いと考えられるブラジルと,相対的には新奇性探究が低い人が多いと考えられる日本で,新奇性探求の得点を比較したところ,ほとんど差がなかった,という結果が得られています。おそらくは,ブラジル人のほうが日本人よりも新奇性探究の傾向が高いと考えられますが,ブラジル人は周りのブラジル人と比較して自分の傾向を判断し,日本人は周りの日本人と比較して自分の傾向を判断するからです。このように,パーソナリティ・テストの結果を判断する際には,その人がどういう集団に所属しているのか,ということも同時に判断しなければならないと考えられます。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.70-71

遺伝子とパーソナリティ

最近の研究で,2万人以上の人を対象に120万以上の遺伝子マーカーとTCIの尺度値との関係を検証した精緻で大がかりな研究の結果,遺伝子とパーソナリティ尺度には有意な関連性がないという研究が発表されています(Verweij et al., 2010)。この報告は当時の研究としては最高レベルの研究に基づいたもので,この研究結果から,おそらく多くの研究者は,遺伝子とパーソナリティ尺度の直接的な関連性はないと考えているのではないかと想像できます。
 さて,私自身,当初のTCIと遺伝子多型に関連性があるという研究発表がなされた後,かなり振り回されてしまった感がありますが,それでも結局のところ,TCIの測定値と遺伝子情報に関連性があると考えています。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.49-50

気質の組み合わせ

クロニンジャー理論の気質の組み合わせによるパーソナリティのタイプは,図1-6で簡単に表わすことができます。この図の見方ですが,垂直方向を見て,上にある4つが「新奇性探究」が高いタイプです。逆に,下の4つが「新奇性探究」の低いタイプです。水平方向を見て,左にある4つのタイプは「報酬依存」が高く,逆に,右にある4つは「報酬依存」が低いタイプです。そして,奥にある4つは「損害回避」が低いタイプで,手前にある4つが「損害回避」の高いタイプです。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.28

4つの気質

さて,クロニンジャーのパーソナリティ理論には,「新奇性探究」「損害回避」「報酬依存」「固執」の4つの気質が想定されています。「新奇性探究」は,車に例えると,アクセルに近い働きがあります。そして,「損害回避」とは,車に例えれば,ブレーキの働きに似ているといえます。もっとも,実際には,目の前にある危ない(かもしれない)ものを避けるために止まるだけでなく,避けて別方向に動いたりもします。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.15

サリアンス

気質は,性格に対して,サリアンスとよばれる効果をもたらします。サリアンスとは,顕現性と訳されることもあり,この文脈では,潜在的に様々な経験をする可能性から,実際にどのようなことを経験することになるのか,つまり,顕現化させるのかに,気質が関わってきます。例えば,学校に入学したとき,潜在的には非常にたくさんの友だちをつくることもできるのですが,実際には驚きやすい傾向の人は,あまり積極的に友だちをつくろうとせず,友達になる数も少ないかもしれません。このように,気質が自分の経験する環境を彩り,結果として,性格の形成に影響を与えると考えるのです。

木島伸彦 (2014). クロニンジャーのパーソナリティ理論入門—自分を知り,自分をデザインする— 北大路書房 pp.11

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