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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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端正さと無関係

ハンサムや男性や美人の女性は候補者として理想的と思われがちだが,実験結果からはなんとも言えない。いくつかの実験では,端正な顔立ちと有権者の投票行動に関係があるという結果が得られたが,無関係という結果が出た実験もある。また,細心の注意を払っておこなわれたある実験では,端正な顔の候補者は落選する確率が高いという結果だった。とはいえ,その実験結果は,顔は端正だが有能には見えない候補者にかぎって言えることだ。ゆえに,“立候補者の顔をより美しく見せても,それによって能力が劣る印象になっていたら,かえって逆効果になりかねない”と研究者は結論づけた。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.181
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子どもによる選挙の予測

スイスの子供を対象にした実験でも,驚くべき結果が得られた。その実験では,まず,5歳から13歳の子供たちにコンピュータゲームをさせた。トロイからギリシャのイタケーまでの船旅のゲームで,そのゲームの終わりに,子供はフランスの国会議員選挙の立候補者の顔写真を2人ひと組ずつ見せられて,次のような質問をされる。「きみはこれから,トロイからイタケーへ船で向かうことになった。きみの乗る船の船長にふさわしいのはどっちの人だろう?」
 5歳の子供が外国の選挙に勝利する人物を予測できる——あなたが友人にそう話したところで,疑いの目で見られるのがおちだ。だが,それこそがスイスの研究者チームが実験して,《サイエンス》誌にも載った発見なのだ。子供たちが船長に選んだ人物は,71パーセントの確率で国会議員選挙に当選した。その確率は大人による同人物の当選予想正解率とほぼ同じだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.177-178

ヒューリスティック投票

立候補者の政策方針を明確に知るという点でも,やはり惨憺たるものだ。2000年の大統領選挙——ジョージ・W・ブッシュ対アル・ゴア——の直前におこなわれたある研究では,ふたりの候補者の方針に関して12の質問を国民にぶつけた。たとえば,「ブッシュは所得税の大幅な削減に賛成するか,反対するか?」,「処方箋の費用もカバーするような引退者の医療保障の拡充に,ゴアは賛成するか,反対するか?」といった質問だ。12個の質問の中で,高正解率だったのは,ふたつだけ。すべての質問にきちんと答えられた人は,半分もいなかった。それより最近の選挙でも,実験によって選挙の争点に関する有権者の無知が明らかになっていて,その傾向は今も変わっていない。立候補者や選挙参謀は選挙活動に30秒間のCMを利用することがよくあるが,短いCMで主要な問題を取りあげることはまずない。そんなCMだけでは有権者が知識を得られないのはあたりまえだ。
 公民科の基礎的な知識も乏しく,各候補者の政策方針の差もわからないとなれば,有権者はどうするのだろう?大半の人はこの世に生きる素直な人がすることをする。ヒューリスティックに頼るのだ。ヒューリスティックとは複雑な問題を解決する際に,簡単で手っ取り早い方法を取ることだ。政治に関しては,誰に投票するかを所属政党で決めたりする。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.164-165

選挙資金集め

これだけ投票率が低いのは,立候補者の努力不足のせいではない。大統領選挙であれ,国会議員選挙であれ,知事選挙であれ,選挙活動で飛びまわっている大半の立候補者は,何年も,いや,少なくとも何カ月ものあいだ,私生活を捨てて,かなりの時間と労力を遊説に費やしている。そしてまた,当然のことながら,そういった選挙活動の原動力になるものが不足していたら,何もできない。その原動力とは金だ。「政治で重要なものがふたつある」と言ったのは,1896年の大統領選に出馬したウイリアム・マッキンリーの選挙参謀だ。「ひとつ目は金で,ふたつ目は思い出せない」と言ったのだった。近年の選挙では多額の金が使われ,資金集めのために膨大な時間が費やされ,年を追うごとにその傾向は強くなるいっぽうだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.161-162

教授に対する印象形成

学生の教授に対する印象は,どのくらいの期間で形作られるのか?5人の異なる教授から14の異なる授業を受けている学生たちがつけた評価に関する研究を見てみよう。まずは学生を2グループに分けて,ひとつのグループは学期の最初の授業の直後に評価をおこない,もうひとつのグループは第1週目の終わりに評価をおこなった。さらに,最後の授業後の学期末に,すべての学生が同じ評価用紙にもう一度記入した。
 最初の授業のあとにせよ,第1週目のあとにせよ,学期のはじめの評価と,学期末の評価はほぼ一致した。教授の熱意,その学問の重要性や可能性がどのぐらい伝わってきたか,適切な反応が得られたか,学生の質問にきちんと応じたか,予想される成績,学生を励ましたか,学習意欲をかきたてたかなどの評価に変わりはなかった。つまり,学生の教授に対する第一印象は授業の初日に形作られ,4カ月後も変わらないというわけだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.129-130

EFL

地球上の無数にいる人の中には,嘘の見抜き方を熟知している者がいる。それが“真実を見ぬく魔法使い”だ。1万5000人以上の人にいくつかの映像テストをおこなった結果,嘘を感知するスーパースター軍団が発見された。普通の人が嘘を的確に見破る確率は5分5分——つまり,まぐれ——なのに対して,“真実を見ぬく魔法使い”は80パーセント以上の確率で嘘を見破る。現時点で,実験によって発見された“真実を見ぬく魔法使い”は50人ほどいる。
 そのひとりの女性は自分のことを“嘘が見える目(アイズ・フォー・ライズ)”,略してEFLと呼んでいる。EFLは中年で,茶色の髪に茶色の目。ジャーナリズムの学士号と,科学の修士号を持っている。彼女にとって嘘の感知は,ヨーヨー・マやジミ・ヘンドリックスにとっての音楽と同じだ。その分野の鬼才というわけだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.122

嘘を見破る迷信

目をそらす
 体を前後に揺する
 唇を噛む せわしなく足踏みをする
 鉛筆をもてあそぶ
 耳にさわる
 左を見る
 鼻にさわる
 わざと友好的な態度を取る

 以上のような手がかりのせいで,なぜ嘘を見抜くのが苦手なのかがはっきりわかる。私たちは嘘を見抜くための手がかりを知っていると思いこんでいるが,その手がかりの多くが実はあてにならないのだ。右に挙げた手がかりが必ずしも嘘の証拠というわけではない。
 とはいえ,そういった手がかりのいくつかが嘘を表していると,あなたが思い込んでいたとしても不思議ではない。ある研究で,サモアから中国まで58カ国の人々に,どんなしぐさによってうそがわかるかと質問した。回答として無数のしぐさが挙げられたが,目をそらす——メラニーのように目を合わせない——というのが一番多く,それこそがもっとも確実な嘘の証拠と考えられていた。だが,実際には,人がどこを見ているかということと,嘘をついているかどうかに明確な関連はない。嘘の証拠として多くの人が信じこんでいる手がかりの大半は,迷信のようなもので,なんの証拠もないのだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.109-110

嘘の手がかり

配偶者や子供,従業員や友人が嘘をついていても,態度や声から得られる手がかりはほんのかすかなものでしかない。声やそれ以外の複雑な手がかり——表情,ジェスチャー,間,顔が赤くなる,声の抑揚,言葉の選び方,うなずき,姿勢,まばたき,落ち着きのなさ,アイコンタクト,話す速度,脚の動き——を相手が発していても,あなたがそれに目を向けようとしなければ,何ひとつ気づかないこともあり得る。
 さらに事態をややこしくしているのは,手がかりに気づいたと思っても,実際には,それは嘘とはなんの関係もなく,話者が不安を感じているだけかもしれない。殺人について警官に訊かれたら,嘘の達人だろうと正直者だろうと,不安のシグナルを発するものだ。そしてまた,さまざまな研究がおこなわれているにもかかわらず,嘘を見極める明確な合図は見つかっていない。ピノキオの鼻とちがって,嘘をついても,わたしたちの鼻は伸びないのだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.107

笑うと

高齢者から借りてきた写真を眺めるのは,意外にも楽しく,しかも,驚いたことに,写真は離婚を予測していた。何人かの人は幼少時代から青年期までの一連の写真を貸してくれた。のちに離婚した人に比べて,ひとりの相手と一生添い遂げた人は,写真の中で自然な明るい笑みを浮かべていることが多かった。そういう人たちの笑顔は,頬を持ち上げる筋肉だけでなく,目のまわりの筋肉——眼輪筋——も完全に収縮していた。その筋肉が収縮すると,目のまわりにしわが寄り,目尻にはカラスの足跡ができる。いわゆる“デュシェンヌの笑い”と呼ばれるものだ。そんなふうに笑っている人は結婚が長続きする確率が高い。離婚した人たちの笑顔は,目のまわりの筋肉が収縮していない傾向にある。キャビンアテンダント,あるいは,パーティーで無理してあなたと話している人の作り笑いに近い。
 この実験にはさらに続きがあった。大学の卒業アルバムの写真を何百枚と検証して,そこに写っている人がどれほど本気で笑っているかを確かめてから,20代前半から80代後半までの卒業生に結婚が破綻したかどうかを尋ねたのだ。卒業アルバムの写真で満面の笑みを浮かべていた人に比べて,さほど笑っていなかった人の離婚率は5倍にのぼった。さあ,いまごろ,あなたは自分の昔の写真をかき集めているのではないだろうか?

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.98-99

破綻の予測

ゴットマンとその研究チームは,カップルが見せる複雑な行動を秒単位で仔細に観察し,その結果をもとに,幸福な夫婦と破綻する夫婦を予測した。まず研究室に被験者となる夫婦を呼んで,金銭やセックスなど夫婦関係で争点となる話題を話し合わせるという実験を繰り返した。夫婦が差し向かいで話し合う様子を録画し,なおかつ,心拍数などを測定する装置で身体的な変化も追跡した。そうして,被験者のふるまいを点数化したのちに,追跡調査をおこなって,結婚が続いているか,破綻したかを調べた。
 ゴットマンの研究から得られた心理学的発見はひじょうに興味深い。ゴットマンとその研究チームは,被験者の夫婦の会話をもとに,結婚したままでいる夫婦と,離婚する夫婦を90パーセントの精度で予測したのだ。さらに,驚くべきことに,夫婦が問題点について話し合いをはじめてからわずか3分間の会話だけで予測した。大多数の夫婦では,話し合い開始直後の3分で,その後の会話がどんな方向に向かっていくか,完全に予測できるというわけだ。ゆえに,今あなたの目の前にいるカップルが,喧嘩をはじめるやいなや激しく非難しあって,不快そうな表情を浮かべているとしたら,その後もそれと同じ状態が続くと考えてまずまちがいない。逆に,問題点を話し合いながらも,肯定的な方向を目指して努力するカップルであれば,最後までその状態が持続する可能性が高い。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.93-94

等身大バービー人形

2011年,《ハフィントンポスト》紙にハミルトン・カレッジの学生ガリア・スレイェンの小さな記事が載った。ガリアは全米摂食障害周知週間に寄せて,高校時代におこなったプロジェクトに関する記事を書いたのだった。その記事は各メディアから注目を浴び,ガリアはほぼ毎朝,テレビのニュース番組で取り上げられることになった。
 なぜそこまで注目されたのか?ガリアが作った等身大のバービー人形のせいだ。それはバービー人形を実物の人間のサイズに直したもので,身長175センチ,バスト99センチ,ウエスト46センチ,ヒップ84センチ。靴のサイズは21.5センチで,体重は50キロ。WHRはなんと0.55。そのスタイルではバービーは立っていることもままならない。すぐに転んで,赤ん坊のように這い這いで移動するしかない。現実的なプロポーションの人形で遊ぶより,バービー人形で遊ぶとそれだけで,少女は自分の体に対して不満を抱くようになるという実験結果には大いにうなずける。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.86-87

関連記事
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同性愛感知

同性愛を感知する能力は万国共通のものらしい。それもまた,その能力が進化によるものという解釈を裏づけている。ある実験では,日本,スペイン,アメリカ出身の男女が,男性の性的指向を正確に見抜いた。だが,3つの国の実験結果の差が,すべてが進化によるものではないことを示している。アメリカの被験者は,日本やスペインの被験者より,すばやく正確に性的指向を見抜いた。さらに,被験者がまちがえるパターンが,国によって異なっていた。日本——3国の中では同性愛があまり受け入れられていない国——の被験者は,アメリカやスペインの被験者に比べて,同性愛者と異性愛者を見まちがえる確率がかなり高かった。この実験結果はもちろんのこと,ほかのさまざまなデータも,同性愛の予測には文化的要因が一役買っていることを示している。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.61-62

性的指向と人種

性的指向に関する知覚は,私たちにとって重大問題で,ときに悲惨な結果をもたらす。アメリカでは,マイノリティーの同性愛者は憎悪犯罪(ヘイトクライム)の標的になりやすく,アフリカ系では約2.5倍,イスラム教徒では約4.5倍にものぼり,その傾向はますます顕著になっている。
 同性愛者に対する否定的な考え方は,研究室でおこなわれた実験にもはっきり表れている。トロント大学の研究者は,民族性との相関関係という観点から,同性愛者と異性愛者に対する見方をテストした。インターネットのデートサイトに掲載された男性の顔写真を,その男性の性的指向を伏せて,被験者に見せた。写真の男性は次の4つのいずれかにあてはまる。

1.異性愛者の白人男性
2.同性愛者の白人男性
3.異性愛者の黒人男性
4.同性愛者の黒人男性

 それぞれの写真を見せて,被験者に「平均的なカナダ人にとって,この人はどのぐらい好ましい男性か?」と尋ねた。
 異性愛者の白人男性は,異性愛者の黒人男性に比べて,はるかに好感度が高かった。性的指向と民族性の関係を考えるにあたって,ひじょうに興味深い結果だ。また,同性愛者の白人男性よりも異性愛者の白人男性のほうが,はるかに好ましいという結果だった。黒人男性に関しては,真逆の反応だった。異性愛者の黒人男性より,同性愛者の黒人男性のほうが好感度が高かったのだ。被験者が写真の男性の性的指向を知らないことを,いま一度思い出してほしい。また,写真の男性の中に同性愛者がいると指摘した被験者はいなかった。
 この実験結果に私は大いに興味を抱いた。なぜなら,性的指向に関する無意識の予測と,意識的に知覚する差異——たとえば人種など——が相まって,人に対する印象に影響を及ぼしているからだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.49-50

童顔に限る

その結果を知ったら,誰もがぞっとするはずだ。ここで焦点を当てる300の裁判では,被告人が無実を訴えた場合,大人びた顔の被告人の92パーセントに有罪判決が下り,対して,童顔の被告人が有罪となったのはその半分以下の45パーセントだった。信じられないような結果だが,裁判に提出された証拠はもちろんのこと,被告人の顔が美形かどうかということや,年齢を考慮に入れても,その結果は変わらなかった。“童顔の力は,犯罪を裏づける証拠の力にも匹敵する”と研究者はまとめている。被告人が自分の罪を認めている場合,大人びた顔の被告はかなり高額な賠償金を支払うように命じられる。といっても,これは原告が童顔の場合に限る。大人びた顔の犯罪者は童顔な被害者に対して平均以上の償いをするべきだと,裁判官が考えているかのような結果だ。裁判の場では被告人だろうと原告だろうと,童顔なものが有利なのはほぼまちがいない。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.39

暴力で命を落とす確率

研究者はある仮説を立てた——幅の広い顔の男性は攻撃的で支配的な傾向があり,ゆえに,ほっそりした顔の男性を相手にした暴力による喧嘩で勝つことが多い,という仮説だ。その仮説をもとに,アメリカで発見された無数の頭蓋骨と,殺害された人々の200以上の頭蓋骨の幅と長さの比率を調べた。殺害された人の頭蓋骨は,死因によって“接触的な暴力”と“その他”に分けられた。接触的な暴力とは絞殺,刺殺,撲殺などで,その他は銃殺や毒殺,また,死因不明などだ。
 ほっそりした顔の男性は,幅の広い顔の男性に比べて,接触的な暴力で命を落とすケースが圧倒的に多かった(女性の死因は,顔の幅と長さの比率に関係なかった)。幅の広い顔の男性のほうが体を使った喧嘩を数多く経験しているはずなのに,ほっそりした顔の男性のほうが,そういった喧嘩で死亡する確率が高いのだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.35

幅の広い顔

幅の広い顔の男性のほうが攻撃的という説は,私の私立探偵の友人の,面長の顔の男性に追いかけられたことはないという実体験とも一致する。その友人は「暴力的な態度を示すのは,肉付きのいい顔の男性ばかりだ」と言っていた。もちろん,100パーセントそのとおりというわけではなく,肉付きのいい顔の男性の多くは大きなテディ・ベアのようにやさしいし,ほっそりした顔なのに暴力的な男性もいる。それでも一般的には,顔の幅と長さの比率で攻撃性が予測できる。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.33

相手の目を見る

相手の目を見る——特に話をしているときに相手の目を見る——人は,知性的な印象を与えるばかりか,実際に知能が高い。テンポよく,大きな声(といっても,大きすぎてはいけない)で明確に話をする人のほうが,頭の回転が速いとする証拠もある。そして最後に,美しい顔立ちは知的であることを表わしている。といっても,それは“美しさのレベルが半分以下の顔”の場合。つまり,ごく普通の人にだけあてはまる。もちろん,これはあくまでも一般的にということであって,端正な顔立ちで,顔をまっすぐ見つめてきて,よどみなくすらすらと話をしても,頭が鈍い人は大勢いるし,どちらかというと醜い顔で,目をそらして,ゆっくり話す人の中にも非常に賢い人もいる。
 “見せかけの知性”を装って,実際よりも知的だと相手に思わせるのは,人が得意とするところだ。意識的に演技して,相手にほんの束の間でも知的な印象を抱かせるのは,その気になればできないこともないというわけだ。逆もまた然りで,実は賢くない人を相手にしていながら,いとも簡単に欺かれて,知的という印象を抱かされるかもしれない。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.26-27

無表情の性格判断

無表情な顔写真——服装もアクセサリーも姿勢もわからない写真——でも,ある程度は性格を予測できる。1枚の写真をわずか0.05秒見せただけで,そこに写っている人物が外向的かどうかがわかる。その性格は1枚の写真からかなり正確に予測できるというわけだ。どういうわけか,私たちは無表情なチンパンジーの顔写真から,そのチンパンジーが外向的かどうかを判断できる。信じられないことだが,どうやらそういうことらしい。
 “人は見かけによらぬもの”と言うけれど,現実には,人はいつでも相手をいかけで判断していて,それが正しい場合もよくある。100パーセントの正解率とはいかないが,第一印象は本質をとらえているようだ。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.23-24

一瞬の性格判断

私たちはほんの数秒で,顔をはじめとするさまざまな手がかりから相手の性格を判断している。そしてその判断は,多くの人のあいだで一致する。あなたとわたしがある人の顔を見たら,その人が誠実か,信頼できるかなどについて,ほぼ同じ予測をすることになる。だが,ほんとうに重要なのは,相手の顔や態度を手がかりにして,性格や今後のふるまいを正確に予測できるかどうかだ。最近の科学的な研究では,いくつかの事柄が“正確に予測できる”という結果が出ている。人の顔や行動は,さまざまな意味で人となりを明かしているのだ。性格や知性はもちろんのこと,どのぐらい思いやりがあるか,あるいは,どのぐらい攻撃的かなどの手がかりになるのだ。
 それでも,人は相手を完全に見誤って,それが重大な問題を引き起こすこともある。たとえば,裁判では大人びた顔の被告に比べると,童顔な顔の被告のほうが刑を免れる傾向にある。陪審員はある種の特徴が顔に表れている被告に,死刑判決を下すことが多い——それが事実であるのは,証拠が裏づけている。

マシュー・ハーテンステイン 森嶋マリ(訳) (2014). 卒アル写真で将来はわかる:予知の心理学 文藝春秋 pp.17

ありえなさ

私が本書で「江戸しぐさ」との対比にUFOの話まで持ち出したことに,面食らわれた読者もおられるかもしれない。
 しかし,実は,ありえなさの度合いでいうと,たとえばUFO墜落事件よりも「江戸しぐさ」の方が上なのである。
 地球外文明が私たちにとって未知のものである以上,その文明の所産が地球にたどりつくことは,(可能性が限りなくゼロに近いとはいっても)絶対にありえないとはいえないだろう。
 けれども「江戸しぐさ」は,私たちにとってほんの数代前の祖先がいた,既知の江戸時代とまったく相容れないのである。
 しかしながら,UFOをあり得ないものと断じるような人間が,「江戸しぐさ」を信奉するなどということは実際にはおおいにあり得る。

原田 実 (2014). 江戸しぐさの正体:教育をむしばむ偽りの伝統 星海社 pp.218-219

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