オランダの社会心理学者セミンらは,対人関係を表す述語を次のように4タイプに分けることを提案した。言語的カテゴリーモデル(LCM:linguistic category model)と呼ばれる。
描写行為動詞:特定の単一の行動に言及。観察できる出来事を客観的に記述する。呼ぶ,会う,蹴る,など。
解釈行為動詞:特定の単一の行動に言及するが,記述を超えた解釈を行う。騙す,助ける,禁止する,など。
状態動詞:単一の事象から抽象された持続的状態に言及する。単なる記述を超えた解釈をする。尊敬する,憎む,好む,など。
形容詞(日本語では形容動詞も含まれる):高度に抽象された人の特性を示す。高度に解釈的で,特定の行動からは切り離されている。正直だ,優しい,冷たい,など。
これらはヨーロッパ語の観察に基づくが,日本語でもおおむね当てはまると考えられる。
岡本真一郎 (2016). 悪意の心理学 中央公論新社 pp. 231-232