ポーターが知ろうとしたのは,サイコパス度の高い被験者のほうがサイコパス度の低い被験者に比べて,感情を偽るのがうまいかどうかだった。答えは明らかにイエスだった。サイコパス的特質があるかどうかによって,嘘の反応に見られる感情の矛盾の度合いも大きくなったり,小さくなったりした。サイコパスのほうがそうでない被験者に比べて,ハッピーな写真を見て悲しそうなふりをしたり,悲しげな写真を見て楽しそうなふりをするのが明らかにうまかったのだ(興味深いことに,ポーターの学生のひとりであるサブリナ・ディミトリオフは,サイコパスのほうが他人のわずかな表情を読み取るのが得意であるという逆パターンの発見もしている)。それだけでなく,サイコパスは情動的知能指数(EQ)が高い被験者にも負けていなかった。だれかが言ったように,誠実そうに見せかけることができたら……向かうところ敵なしだろう。
ケヴィン・ダットン 小林由香利(訳) (2013). サイコパス 秘められた能力 NHK出版 pp.161-162
PR