最近の数字が,子供の誕生によって増える雑用の多さを衝撃的に示している。もともと子供がいなくても行なっていた家事,たとえば皿洗いは1日1〜2回から1日4回へ,洗濯は週に1回から週に4,5回へ,買い物は週に1回から3回へ,食事の支度は1日2回から4回へ,掃除は週に1回からたいていは1日1回へと増える。そのうえ育児の雑用がある。平均して,1日に6,7回はおむつを替えなければいけないし,1日に2,3回入浴させ,ひと晩に2,3回,昼間も5回はあやす必要がある。何もできない赤ちゃんが加わることによって,かつては簡単だったことも,ひどく複雑で時間のかかるものになってしまう。ある父親は憤りを隠さない。「いまではアイスクリームひとつ買いに出るのも月ロケットを飛ばすくらい大変ですよ。まずアレックスのおむつがぬれていないかをチェックし,それから服に押し込んで,次にベビーカーに入れます。そして,ぬらしたときのために余分のおむつをつめ,騒ぎ始めた場合に備えて哺乳瓶も入れなければなりません」
1960年代の男性とくらべると,この父親のような人は,育児や家事にあきらかにずっと多く関わっている。いくつかの調査によれば,30年前の男性は平均して1周間に11時間を家事と育児に費やしていた。今日では15時間から16時間である。しかしこの増えた分の3,4時間は,母親の負担を目に見えるほど軽くはしてくれない。女性がフルタイムで働いている家庭でも,おむつ替えや食事,入浴など,母親の育児に向ける時間は夫をときに300パーセント近くも上回っている。別の言い方をすれば,夫が3回おむつを替えるとき,妻は8回替えているということだ。家事に費やす時間も移行期間は約20パーセント増える。
J.ベルスキー・J.ケリー 安次嶺佳子 (1995). 子供をもつと夫婦に何が起こるか 草思社 pp.42-43