読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
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とはいえ,独身時のサポートについては男女でそれほど大きな差はないだろう。大きな差が出てくるのは結婚してからである。無限定的な働き方をする人が世帯にいる場合,そうではない人(たとえば専業主婦)が同じ世帯にいてサポートするならば私生活のレベルは落ちないし,子どもを産み育てることも可能であろう。しかし無限定的社員と無限定社員のカップルだけでは無理である。その結果,女性の側がキャリアを断念することになりやすい。ましてやどちらかに転勤が命じられれば,片方の(たいていは女性の)キャリアプランは破壊される。パートナーのどちらかに転勤の可能性があるというだけで,持ち家を買うかどうかの判断などに必要な,生活の長期的見通しが立たなくなることもあるだろう。
筒井淳也 (2015). 仕事と家族 中央公論新社 pp. 112
日本企業の基幹労働力として採用された者は,仕事に関する三つの「無限定性」を受け入れることを要請される。職務内容の無限定性,勤務地の無限定性,そして労働時間の無限定性である。
筒井淳也 (2015). 仕事と家族 中央公論新社 pp. 103
ここから,次のようなことが推察される。1990年代半ばを境として,男女双方に共働きを通じて経済的に維持可能な結婚生活をなんとか成り立たせようとする動きが出てきたこと。また,結婚しても働き続けなければ家計を維持できないのでは,と考える女性が増えてきたこと。他方で,「結婚はしたいが現実には無理で,独身のまま働き続けるのだろう」と考える女性も増えてきたこと,などである。
筒井淳也 (2015). 仕事と家族 中央公論新社 pp. 55-56
以上を受けて筆者は,肝心なのは結婚・出産を望む人がそれを叶えられる社会を実現することであり,今でもほとんどの人は結婚して子どもを持ちたいと考えている以上,経済的な障壁を取り除くことで十分な少子化対策になると考える。
筒井淳也 (2015). 仕事と家族 中央公論新社 pp. 38