忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

美の定量化

 美の構成要素の定量化を試みた研究はこれまでにもおこなわれている。ルイヴィル大学心理学教授マイケル・カニンガムは1980年代,大学生と協力して一連の実験をおこなった。男子大学生に女性の顔の点数をつけさせ,理論上は完璧に美しい顔を形作ることのできる測定値を発見した。理想的な目の幅は,目の高さで顔の横幅の10分の3,顎の長さは顔の5分の1,眼球の目に見える部分の縦の長さは顔のたった14分の1。だがマルクワルトが望んでいたような,外科医が文字通り切り抜き縫い合わせて完璧な顔を作れるテンプレートはできなかった。
 マルクワルトはコンピュータを起動させた。彼はことのほか興味深い研究をしていた。異なる文化に属する人々が,美しい顔,それほど美しくない顔,不細工な顔に対してそれぞれどんな反応を見せるか,という研究だ。彼は並んだ18個の顔を被験者に見せ,美しいと思った順に番号をつけさせた。スーパーモデルのステファニー・シーモアもいれば,繊維組織が増殖する神経線維腫症によって溶けた蝋のように顔が変形した女性もいる,というように極端なものだった。研究参加者の出身国,出身民族は多岐にわたっていたが,18の顔を全員がほぼ例外なく同じ順に並べた。
 「『醜い相手を愛する人もどこかにいるだろう』と言いたがる人もいます」。マルクワルトは顔の白黒写真の映像を次々と示した。1枚ごとに前の写真よりも醜くなっていく。最初はどこにでもいるような,普通に不細工な顔。鼻は大きすぎ,目は寄りすぎている。それから顔は変化していく。甲状腺腫がある。顔の病気や障害がある。どんどん見るに耐えない顔となっていく。「私に言わせれば,そんなきれいごと,クソ食らえですよ」とマルクワルトは声をあげた。「醜い顔が好きな人なんていません。それに,ほとんどの人は,同じように醜さを嫌っているんです。変形してもう人間とは言えないくらいの顔がいくつかあります。できるだけ広範囲の顔を集めたのですが,97%の人はそんな顔を同じ順位につけました。日本人男性が1人いましてね,彼がランクづけした結果はアメリカ人女性と同じだったと教えてやったら,ひどく怒りました。『われわれ日本人の美のとらえ方はまったく異なるのだ。そんな結果が出るなどあり得ない』と言うんですね。すごく侮辱されたように感じたようです。しかし事実は事実ですから」

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.160-162
PR

美しい仮面の創造

 リーフにしてみれば,セラピー花ざかりの文化は宗教に取って代わり,アメリカ人は宗教的倫理観とピューリタン的美徳を基礎とした文明から,自分自身の向上のみに関心を向ける文明に変質してしまった,ということになる。「幸福感は,共同体のための崇高な目標に向かって努力する中で得られる副残物ではなく,それ自身が生きる目標となってしまった。それは,アメリカ文化の構成員全体の焦点が根本的に変わったことを示している——昔ながらの,絶望と希望という観点では説明できない人間の状態に焦点が移ったのである」。現代人にとって,セラピー文化——幸福を求める文化——はセレブと美容整形の文化に道を譲ったということになる。今ではもう,自己の向上に焦点を当てることはない。それより一段階先に進んでしまった。美しい仮面の創造だけが焦点なのである。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.152-153

年齢でも

 ハリウッドのエージェントたちは,顧客である40歳以上のシナリオライターには年齢をごまかすよう勧める。履歴書には年をとってらの実績は書かない。2001年,40歳以上のライター50人がロサンゼルス連邦裁判所に集団訴訟を起こした。テレビ界では過去20年にわたって40歳以上のライターに対する年齢差別がはびこっていることを訴えたのだ。被告には,NBC,ウォルト・ディズニー社とその子会社,FOXエンターテインメント,タイムワーナー,ユニバーサル,パラマウント,バイアコム,コロンビア・トライスター,ドリームワークス,インターナショナル・クリエイティブ・マネジメント,ウィリアム・モリス・エージェンシーなど51社が名指しされている。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.120

頼れるものは

 20世紀には数多くの変革によりテクノロジーは180度転換し,アメリカの社会構造もまったく姿を変えてしまった。アイデンティティという観念は,現代のアメリカでは代替可能な性質を持つもの,流動的で日々変わり得るものになっている。
 50年前と比べて,アメリカ人は頻繁に引っ越すようになった。大都市から地方都市へ,郊外へと,会社に命じられるままに移動する。平均的なアメリカ人は生涯で11回引っ越しをする。米郵政公社の統計では,毎年4400万人(全人口2億8000万の約15%)が引っ越すそうだ。
 離婚率は1900年の7倍になった。2度,3度,あるいは4度結婚することも珍しくない。こんな時代にあっては,50歳や60歳でも独身で,またデートの駆け引きをしなければならないこともある——そして,相手をうまく誘うには容姿もそれなりによくなければならない。現代人の生活はさまざまな選択を迫られるため,1つのことに集中していられる時間は短くなってしまった。だからここ10年ほどは出会いパーティが大流行だ。独身男女が30秒,60秒刻みで部屋の中を歩き回り,気に入った相手と話をするというものである。
 平均的な大卒者が就職する場合,現在では生涯で少なくとも7つの会社で7つの職種を経験することになる。長年仕事をしていても,町から町へと移動の連続で,同僚とよく知り合えないまま終わってしまうかもしれない。互いの短所や癖など,その人ならではの特色を知る長年の友人や家族はほんの一握り,ということもあるだろう。
 つまり,移動を繰り返す典型的なアメリカ人的生活を送るアメリカ人にとって,もはや周囲の顔ぶれが毎年同じだとは限らなくなっているのだ。自分の世評を名刺代わりとしてあてにできないとすれば,彼らが頼れるものは,容貌と,好意的な第一印象を与える能力しかない。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.116-117

内面の美

 現在,1日に2800万のアメリカ人がプロザックなどの抗うつ剤を服用している。月経前症候群(PMS)の症状を緩和するからと言われてこうした薬——SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)——を服用する女性がいる。絶対に憂うつになったり疲れたり落ち込んだりしたくないというだけの理由で,SSRIを服用する人がいる。対人恐怖症があって人と打ち解けにくいためにSSRIを服用する人もいる。SSRIは自尊心——毎度おなじみ『エクストリーム・メイクオーバー』の決まり文句——を得るための手段となった。そして,人間行動における正常な範囲に収まる程度のちょっとした心理的症状を軽減しようとしてSSRIを服用する人は数百万人にも上る,と多くの研究者は論じている。
 つまり,これは内面を美しくする手段である。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.114-115

美容整形と世界大戦

 実際,顔のピーリングから眉毛リフトに至るまで現代の美容技術のほとんどは,源を第一次世界大戦とその直後数年間に求められるのだ。戦闘中に受けた傷,損なわれた容貌を外科医が治したのがそもそもの始まりである。大戦では,人体に対してなされ得る,それまでになく見るも無残な暴力の痕跡がこれでもかというほど残された。大戦以前に知られていた武器に比べて爆弾は強力になり,弾丸のスピードははるかに速く破壊力も大きくなった。外科医は創意工夫を凝らして腕を振るい,めちゃめちゃにされた人体を元通りに修復しなければならなかった。
 人間の顔は直接の標的となる。塹壕に押し込められた中で,迫撃砲や手榴弾の砲火に顔の柔らかい組織,繊細な骨が直撃されて負傷することがしばしばあった。大戦中非常に多く見られた怪我の一つは,顎を吹き飛ばされるというものだ。
 またこの戦争では,史上初めて飛行機が戦闘の道具として用いられた。飛行機のエンジンが火を噴くと,コックピットでシートベルトをつけた兵士は化学反応やガソリンによる火炎で恐ろしい火傷を負う。飛行機が墜落すると,パイロットの頭がコントロールパネルに激突して顔の骨は粉々になり,大きくひび割れた顔はピカソの作品ばりのグロテスクなマスクと化す。
 それ以前の戦争では,こうした事故に遭えば即死するか放置されて結局死ぬかだった。しかし医学全般の進歩のおかげで,原形をとどめないほどに損傷した患者も生かしておけるようになった。実のところ,戦時の死亡率は低下の一途をたどっている。第二次世界大戦では,戦闘中に負傷した米軍兵士の30%が死んだ。ベトナム戦争で死亡したのは負傷した兵士の24%。兵器の破壊力が増大したにもかかわらず,イラクとアフガニスタンでの死亡率は10%に低下した。そして第一次世界大戦のときと同じく,戦時の負傷には多くの場合整形手術が必要となる。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.87-88

人体に使用不可

 ボトックスの人気が高まるにつれて,非合法な市場も大きくなっていった。2004年,FDAの調査で,世界中からアメリカに向けてブラックマーケットのボツリヌス菌が輸送されていることが判明した。多くは中国からだ。中国では「BTX-A」,「ボツトックス」といったブランド名でボツリヌス毒素が販売されている。ケーンはじめ何人かの外科医は,ボトックスその他の医薬品を安価で販売することを約束するメーカーからの誘いを定期的に受けている。ケーンのところに届いたある手紙では,ボツトックスは「ボトックスより高品質・高効果・低価格」を誇り,70〜80%の節約になると請け合う。別の手紙では,「非常に安定性の高いA型ボツリヌス毒素製剤」を販売していた。だがその手紙の一番下には,細かい字でこう印刷されていた——「人体に使用不可」。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.78

ボツリヌス

 ボツリヌスの語源は「ソーセージ」を意味するラテン語の「ボツラス(botulus)」である。アメリカ合衆国では,肉製品,魚の保存食,家庭で缶詰にした食品などの摂取によるボツリヌス中毒が散発的に発生する(へこみのあるキャンベルのスープ缶にはボツリヌス菌が入っている,と昔は皆が信じていたことをアメリカ人なら覚えているだろうか。実際はそんな可能性は極めて低いのだが,おそらく親や祖父母が幼かった頃の知恵の名残だろう。1930年代のボツリヌス大流行によるパニックで,アメリカの缶詰産業は壊滅的打撃を受けたのである)。ボツリヌス菌接種後の潜伏期間は18〜36時間。米国疾病管理センター(CDC)の統計によると,アメリカでは平均して年間約110例のボツリヌス中毒が報告される。そのうち食物経由のものは約25%であり,残りの大部分に当たる72%は,土,ホコリ,時にはハチミツに含まれるボツリヌス菌が乳幼児の体内に入ることによって起こる乳児ボツリヌス症だ。年長の子どもや大人の場合,消化器官が発達していて菌が病気を引き起こす前に体外に排出できるので,通常こうした菌は無害である。2003年にはアメリカ国内で86例の乳児ボツリヌス症が報告されたが,いずれも死に至ることはなかった。
 それ以外の症例は創傷ボツリヌス症であり,多くはヘロイン中毒者によるドラッグの静脈注射で引き起こされる。近年で最悪の症例は2003年に発生したケースで,ワシントン州でブラックタールと呼ばれる成成ヘロインを駐車した十数名が感染し,1人が死亡した。
 ボツリヌス中毒で死ぬときは拷問にも等しい極度の苦痛を伴う。ボツリヌス毒素は筋肉の収縮をコントロールする神経伝達物質アセチルコリンの受容体部位をブロックする。そのため筋肉が麻痺して体のコントロールが利かなくなる。普段は常に収縮していることによって便を抑えている腸管が緩んで下痢をする。自律神経が失調する。脳神経から麻痺が徐々に下へ広がり,肺が機能停止する。息ができなくなり,手の施しようもないまま窒息死する。あるいは息ができなくなり,死への恐怖でパニックに陥って心臓発作を起こして死ぬ。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.59-60

本物なら

 ボトックス治療では,医師は希釈したボトックス薬剤を患者の顔の筋肉に注射する。その後数日間かけて,顔にしわを作る小さな筋肉をボツリヌス毒素が麻痺させる。そして新たなしわを防止するだけではなく,前からできている,いわゆる「動的」なしわをも消してしまう。皮膚の感覚が失われることはなく,手触りも変わらない。ボツリヌス中毒——呼吸不全を起こし,進行すると死に至る病気——になる危険もない。ボトックスはボツリヌス毒素を極度に希釈しているからだ。本物のボトックスなら,ということだが。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.54-55

ボトックス

 ボトックスはいまや,テレビのパーソナリティ,ランチを楽しむ女性,裕福な専門家,年を取ることを拒む俳優などの話題の中心に躍り出た。FDAが眉間のしわを麻痺させる用途でボトックス使用を認可したのは2001年だ。しかしその前から,宣伝などしていないにもかかわらず,ボトックスはアメリカ国内で最も人気の高い美容整形術になっていた。業界アナリストによれば,2000年にボトックス注射を受けた人は100万人以上に上る。2004年の時点ではそれが800万人ほどになっていた。2004年のボトックスの売上高は6億5000万ドル。ボトックスを製造する製薬会社アラガンは,2005年の同社のボトックス売上は8億4000万ドルに上ると予測している。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.52-53

見かけで

 アメリカ文化では,見かけの良し悪しを気にかけて不安を感じる傾向は強まる一方だ。調査会社ローパーによると,2003年には過半数(51%)のアメリカ人が,自分の容姿に「あまり満足していない」または「まったく満足していない」と答えたという。
 ルックスこそが新しいフェミニズム,美を求める積極的行動主義である。いくら低俗で浅薄に聞こえようとも,現代は歴史上最もルックスが重要視される時代であり,とりわけ女性にとって容姿は大事なのだ。とはっきり書いてしまうとゾッとしてしまうが,私はジャーナリストであってイデオロギーの提唱者ではないので仕方がない。今私たちが生きている文化は,イメージが言葉よりもパワーを持ち,シンボルやサウンドバイト[訳注——短いフレーズでメディアで繰り返し引用される政治家などの発言。日本では小泉純一郎首相の「ワンフレーズポリティクス」がサウンドバイトを利用した典型例]が言葉を凌駕した恐るべき文化なのである。

アレックス・クチンスキー 草鹿佐恵子(訳) (2008). ビューティー・ジャンキー:美と若さを求めて暴走する整形中毒者たち バジリコ pp.12-13

そんなのウソ

 「前向きに生きよう」とか「ポジティブ思考で何事もプラスに考えましょう」とか,言う人いますよね。「人生ポジティブに生きれば成功する」みたいなことを。
 たいてい,そういう人って金持ってるんですよ。どっかの会社の社長とか,何かで成功した人とか,そういうこと言う人って,人生の成功者でちゃんとした地位とか築いてる人なんですよね。
 そういう連中に「前向き」とか「ポジティブ」とか言われても説得力ないんですよ。「そりゃお前は金持ってるから前向きになれるかもしれないけれど,こっちは金ないんだ」っていう。「じゃあポジティブになれば金持ちになれるか」っていうと全然そんなことないし。「そもそも金ないから前向きになれない」っていう。だから,そんなのウソだってことに早く気付いて欲しいですよね。なんの役にも立たないってことを。

有吉弘行 (2010). お前なんかもう死んでいる:プロ一発屋に学ぶ50の法則 双葉社 pp.190

イメージだけで

 いま「草食系」とか「肉食系」とかいいますよね?
 「草食系男子」っていえば,要するに,「ガツガツしない男」ってことですよね。でもそれって簡単に言えば,「人見知り」ってことでしょ?「引っ込み思案」ってことだと思うんですよ。「肉食系男子」は「社交的な人」。ただそれを言い換えてるだけでしょ。肉食系のほうが生命力強そうに見えて,実は意外に「草食系」のほうがしぶどく生きそうだし。それって言葉を言い換えてるだけで,言葉のイメージだけで判断してしまうと実際は違うことがあると思うんですよね。

有吉弘行 (2010). お前なんかもう死んでいる:プロ一発屋に学ぶ50の法則 双葉社 pp.182

笑っておけば

 じゃあ,嫌いなヤツだから付き合わなくていいかっていうと,それもダメだと思うんですよ。「嫌いだからこいつのことは見ない」じゃいけないと思いますね。嫌いなら「嫌い」っていう目線でその人を見ていかないといけないし。嫌いでも使えそうなら,付き合わないといけないんですよね。嫌いだからって付き合わないでいると,いつ敵に回って足元すくわれるかわかんないですからね。そういう意味でも一応は付き合っておいたほうがいいんです。
 そこで,「嫌いなヤツと付き合うにはどうしたらいいか?」っていうと,顔の筋肉を鍛えといて,ずっと笑ってりゃ大丈夫だと思うんですけどね。とりあえず笑顔でいりゃなんとかなるっていう程度の付き合いでいいんですよ。深く付き合う必要ないんで。表面上仲良くしとけばいいんです。
 そこは多少は努力が必要ですけどね。身体鍛えるより,顔の筋肉鍛えろ!!っていう。「こいつは役に立つんだから」と思って付き合うしかないですね。そこは割り切って。

有吉弘行 (2010). お前なんかもう死んでいる:プロ一発屋に学ぶ50の法則 双葉社 pp.165

アンテナ

 じゃあ,「落ち始め」に気付くにはどうすればいいか?
 それにはいつでも自分でアンテナを張っとくことです。「自分は落ちるぞ,いつか落ちるぞ」っていつでもそう思ってることです。「自分は大丈夫」なんて絶対に思っちゃダメです。常に,「自分は落ちるぞ」とか,「そろそろ落ちるから気を付けないと」って思ってないと。そこはもう完全にネガティブです。「自分は大丈夫」なんて前向きに思ってると命取りです。ポジティブな考えとかいらないです。
 サラリーマンでも,「この会社で安泰だ」と思ったら危ないです。世の中,安心したら危ないんです。気が付いたら自分の会社がなくなってたとか,会社はあるけど,自分はリストラされたとか,そんなことが当たり前のように起きる世の中ですから。間違っても,「自分は安泰だ」なんて思っちゃいけません。その時点ですでに危険です。かなり落ち目になっても「大丈夫だろ」って思って手遅れになるタイプです。

有吉弘行 (2010). お前なんかもう死んでいる:プロ一発屋に学ぶ50の法則 双葉社 pp.108

逃げ道

 いざというときのために「逃げ道」を作っておくのって大事ですよね。たとえば勤めてた会社が潰れても,「俺はこっちでも生きられるから」って思えれば慌てなくて済むんで。会社にリストラされたとしても,「いい,いい,俺はこっちの仕事があるからいいんだよ」って気持ちになれるし。「資格持ってるから大丈夫だ」とか,「俺はパチンコで食えるから大丈夫なんだ」とか,いざっていうときの逃げ道は絶対に持っておいたほうがいいですよね。

有吉弘行 (2010). お前なんかもう死んでいる:プロ一発屋に学ぶ50の法則 双葉社 pp.86

ゼロから1

 “ゼロから1にする”のってすごく大変なんですよ。ないところから作るのが大変なんです。ゼロになったらどうあがいても無駄です。“1を5”にするほうが簡単。忙しい中,いろいろ仕事がある中で努力すれば,その頑張りが認められて,ひとつの仕事が次から次につながって,どんどん仕事が増えたりしますけど,「全然仕事が無いのに,なんの努力するんだ?」って。
 努力するなら,仕事があるうちになんとかしといたほうがいいと思います。仕事がなくなってからじゃ遅いです。金なくなってからじゃどうしようもないです。どん底に落ちてしまったらどうあがいても無駄なんですよね。
 どうせ努力するなら,単純に金くれる人を見つけるとか,落ちてる小銭拾うとか,そっちの方向で努力したほうがいいんですよ。自分の力でなんとかしようなんて思っても意味ないです。

有吉弘行 (2010). お前なんかもう死んでいる:プロ一発屋に学ぶ50の法則 双葉社 pp.76-77

どん底

 世間ではよく,「将来のことを考えて生きていかなきゃいけない」とか,「長いビジョンでものを見なくちゃいけない」とか言いますよね。でも,どん底にいるときって,将来とか長い目でとか,そういうこと考えるのは絶対に無理です。だいたい,長い目で将来のビジョン見ちゃうと,「ホームレスやってる自分の姿」しか出てこないですから。さらにどん底に突き落とされて,落ち込みます。

有吉弘行 (2010). お前なんかもう死んでいる:プロ一発屋に学ぶ50の法則 双葉社 pp.59

なぜスプラッシュ

 バクスターは当初このライドに「ジッパディ・リバー・ラン」という名前をつけていました。映画の主題歌で現在もディズニー音楽の代表曲となっている「南部の唄」が「ジッパティ・ドゥダー,ジッパディ・エー」で始まるので,これにちなんだのです。
 ところが,新しくディズニーの最高経営責任者になったマイケル・アイズナーは,これを「スプラッシュ・マウンテン」に変更するように命じました。当時,ダリル・ハンナとトム・ハンクス主演の『スプラッシュ』という映画が大ヒットしていたので,このタイトルを使えというのです。しかも,アイズナーはこのアトラクションのどこかに人魚がでてくる場面を入れるようにという変な注文もつけました。
 この映画が,人魚のハンナがハンクスに恋をして人間になり,現代のニューヨークにやってきて恋物語を展開するという『人魚姫』の20世紀版だったからです。アイズナーは,自分の会社のトップになって初めてヒットした映画なので,これまた自分がディズニーにやってきてから初めてオープンする新しい大型アトラクションのどこかに,この映画の成功の記念を残したかったのです。
 しかし,どう考えてもこれは無理な注文です。ウサギさんやキツネさんやクマさんの話に人魚がでてくるのは,どういう風にもっていっても不自然になります。しかも,名前を「スプラッシュ・マウンテン」にしたのでは,このアトラクションと『南部の唄』のつながりがわからなくなってしまいます。
 ですが,相手は会社のトップです。バクスターは彼の顔をつぶすわけにはいきません。そこで,人魚をどこかに出すというほうは譲歩してもらうかわり,名前のほうはアイズナーに譲ることにしました。こうして1989年,「スプラッシュ・マウンテン」はディズニーランドにオープンしました。

有馬哲夫  (2011). ディズニーランドの秘密 新潮社 pp.177-178

南部の唄

 まず,なぜ『南部の唄』は現在見ることができないのかということなのですが,これはアメリカの黒人団体が1946年に初上映されたときから,この作品に黒人差別が含まれていると抗議し続けたからです。
 たしかに,この作品のヴィデオ・ソフト(アメリカ版)を見直してみると,キツネさんやクマさんは黒人のように描かれ,話す英語にも南部の黒人特有の言葉づかいとアクセントが認められるのに対し,ウサギさんは白人的に描かれ,話す言葉にも黒人のようなクセはありません。
 黒人団体がとりわけ問題にしたのは,主人公のリーマスおじさん役である黒人の召使が,かなり誇張されて描かれているという点でした。つまり,不自然に皮膚が黒く,汚く見えるうえ,目もやたらとぎょろぎょろしているというのです。
 さらに実際に黒人奴隷がいた南部プランテーションでは,白人農場主が黒人に一方的に非人道的な労働と生活を強いていたのに,この映画では白人と黒人がそれなりに仲良くやっていたように描かれているという理由がこれに加わります。
 この抗議に対して,ディズニー側は,こう答えてきました。
 「アメリカの民話をたどり,それを映画によって保存することのほうが,表明されている懸念(黒人差別のこと)より重要だと考えています」
 この考えにしたがってディズニー側は,この作品が1946年に初上映されたあとも,1956年,1972年,1980年,1986年と再上映してきました。ところが1986年以降は再上映せず,ヴィデオ・ソフトの製造もしませんでした。
 このあと,1992年からは日本でこの作品のヴィデオ・ソフトの販売が始まりました。この年,東京ディズニーランドに「スプラッシュ・マウンテン」が新しいアトラクションとしてオープンしたからです。このヴィデオ・ソフトは,約30万本を売ったのち,1995年に製造を止めます。30万本というのは今では途方もない大ヒットですが,当時でもかなりのヒットです。このころの関係者によると,売れているのに製造を止めたのは,日本では問題になっていないが,アメリカで問題になっているので自粛したということです。

有馬哲夫  (2011). ディズニーランドの秘密 新潮社 pp.172-173

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]