バース大学とブリストル大学の心理学部講師スーザン・ブラックモアによれば,人が超常的な理由づけに強く引かれるのは,夢と現実の出来事,星の配置と性生活など,物事を関連づけることで世界を理解しようとする傾向のせいなのだという。偶然の一致は都合よく準備されたつながりであって,あとは私たちが,それは予言だと思ってしまえばいいわけである。
心理学では,たまたま起きた出来事を自分の思考と結びつけようとする行為を「コントロールの錯覚」と呼ぶ。ブラックモアが簡単な例を示している。たとえば,信号に近づいたときに「変われ」と思った経験は誰にでもあるはずだ。信号が思ったとおりに変わればうれしくていい気分になるが,こうした偶然の出来事について念力が働いた,つまり心が物を動かしたのだと言う人も多い。要するに,どうしたわけか人の心の中で考えたとおりに物が軌道修正をするというのだ。調査によれば,こうしたことを言う人は,信号が変わらなかったときには,それに気づいても決まって無視するのだそうだ。
マーティン・プリマー,ブライアン・キング 有沢善樹(訳) (2004). 本当にあった嘘のような話:「偶然の一致」のミステリーを探る アスペクト pp.51
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