経済的に自立していないのはけしからん,という意見もありますが,今の状況で経済的に自立するのは大変です。むしろ,経済的に自立できる人は恵まれた人だと思った方がよいのではないかと思います。
例えば,結婚後に子どもが生まれて退職した女性を考えてみましょう。彼女は確かに,経済的に自立してはいません。経済的に恵まれない家に育ち,やむなく高校を中退した人も,自立できるほど稼げないかもしれません。会社をリストラされて次の仕事がみつからない元サラリーマンは,経済的に自立してはいないでしょう。彼らはけしからん存在でしょうか。
私は今のところ経済的に自立していますが,将来何があるかわかりません。重い病気になって働けなくなるかもしれませんし,大学をクビになるかもしれません。そういう可能性は,誰にでもあるのではないでしょうか。
神永正博 (2010). 未来思考:10年先を読む「統計力」 朝日新聞出版 pp.116-117
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