皮肉なことであるが,ロールシャッハテストが矛盾する結果を生じる傾向があることは,心理学者の間でこのテストがもてはやされている理由の1つなのかもしれない。イェール大学のJ・R・ウィッテンボーン(Wittenborn, J. R.)とシーモア・サラソン(Sarason, S.)が半世紀前に述べたように,ロールシャッハテストがもつ自己矛盾によって,このテストは何でも明らかにすることができる検査であるようにみえることがある。どのようなクライエントであっても,ロールシャッハ・スコアの中には何かぴったりするものが必ずある。
J.M.ウッド,M.T.ネゾースキ,S.O.リリエンフェルド,H.N.ガーブ 宮崎謙一(訳) (2006). ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議— 北大路書房 p.274-275
(Wood, J. M., Nezworski, M. T., Lilienfeld, S. O., & Garb, H. N. (2003). What’s Wrong with the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test. New York: John Wiley & Sons.)