討論あるいは対話という形で,真理を追究していこうとすれば,それと同じように,対立図式を際立たせるような争点を絞り込むことが不可欠です。
ある物事に対する見方を,互いに相容れない正反対の二つの極にはっきり分けて,いずれが「正しい」か,あるいは「より適切か」を,対話・討論を通して,あるいは自分の頭の中での討論を通して----妥協したり,曖昧なところを残したりせず----決着させようとする思考法のことを「二分法」あるいは「二項対立」と言います。
そうした思考法と連動する形で,物事を----「善/悪」「プラス/マイナス」「右/左」「新/旧」「ポジティヴ/ネガティヴ」というふうに----二つの極に分解して認識することを,「二項対立」的あるいは「二分法」的な認識と言います。
英語で言うと<dichotomy>です。日本人に比べてイエス/ノーをはっきり言う西洋人は,哲学や政治の問題を考える時にも,二項対立的に突き詰めた発想をする傾向が強いと言われています。
仲正昌樹 (2008). 知識だけあるバカになるな! 何も信じられない世界で生き抜く方法 大和書房 Pp.106-107
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