言い訳は,その出来事に対する個人の責任を低減しようとする試みである(Schlenker, 1980; Snyder & Higgins, 1988; Snyder, Higgins, & Stucky, 1983)。
責任のトライアングル・モデル(Schlenker, Britt, Pennington, Murphy, & Doherty, 1994)
a)その状況では人がどうふるまうべきかを説明する,出来事についての明確な規定があるほど(規定ー出来事間のリンク),b)役割・信念・性格によって行為者がその規定を適用できるほど(規定ーアイデンティティ間のリンク),c)出来事に対する統制力があるという点で行為者がその出来事とつながりをもっているほど(アイデンティティー出来事間のリンク),人はその出来事に対する責任をもつ,とされる。逆に,これらのリンクが弱いほど,出来事に対する個人の責任が弱まることになる。
言い訳は,トライアングル・モデルにおけるいずれかのリンクを弱めることによって,その事象に対する責任を低減する機能を果たす。
J.A.シェパード & K.D.クワニック 不適応的な印象維持 R.M. コワルスキ&M.R.リアリー(編著) 安藤清志・丹野義彦(監訳) 2001 臨床社会心理学の進歩 実りあるインターフェースをめざして 北大路書房 279-314.