テレビのSF番組,『スタートレック』によって確立され,それ以来受け入れられてきた愉快な特性の一つは宇宙人の外見だろう。彼らがいかに奇妙で見慣れぬ文化から,宇宙のどこからやって来ようと,頭の鱗やこぶの数や色がどうであろうと,彼らには2つの目,2本の腕があり,2本の足で歩き回る。誰か平凡な俳優に奇妙な頭をつけるのがエキゾチックな生物を作るいちばん安上がりな方法だというスタジオ側の言い分もよくわかるが,私はこれが現実であって,宇宙のどこかに変わった都市があり,通りには,こぶや鱗がなければ私たちのように見えなくはない通勤者たちが溢れていると思いたい。これには生物学的正当性がある。主張したいのは,どのような問題に対しても解決策はわずかな数しかなくて,私たち人体のデザインには,良い解決策がすでにいくつか取り込まれているということだ。
マイク・ハンセル 長野敬・赤松眞紀(訳) (2009). 建築する動物たち:ビーバーの水上邸宅からシロアリの超高層ビルまで 青土社 pp.83-84
(Hansell, M. (2007). Built by Animals: The Natural History of Animal Architecture. Oxford: Oxford University Press.)
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