I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   
カテゴリー「パーソナリティ・個人差」の記事一覧

男性性・女性性

1936年,アメリカの心理学者ターマンとマイルズによって考案された,心理学的な男性性と女性性を調査するための心理テストです。同性愛診断のためだけに考え出されたものではないのですが,たとえばこのテストで”女性的”という診断結果が出た男性は,同性愛者かその予備軍なのだと考えられていました。

牧村朝子 (2016). 同性愛は「病気」なの? 僕たちを振り分けた世界の「同性愛診断法」クロニクル 星海社 pp.137

身長と成功

身長と職業上の成功の度合いや地位の高さの間に強い関連があることは,多くのデータによって裏づけられている。背の高い人は,平均して高い給料を受け取っているし,地位の高い職業に就いている人を調べると,長身の人が占める割合が大きい(これは,ある職に就くために必要な学歴や身体的能力の影響を考慮に入れても言えることだ)。CEOや管理職は,背の低い人より高い人のほうが多く,アメリカの歴代大統領も,ほとんどがアメリカ人男性の平均より長身だ(第四代大統領のジェームズ・マディソンは,身長163センチと小柄だったが)。いくつかの研究によれば,身長の高い人ほど,主観的な幸福感が強いという相関関係があることもわかっている。
 背の高い人が成功しやすい理由は,いろいろ考えられる。たとえば,思春期の子どもの間では長身の子が人気者になるので,そういう人は対人関係をうまくやっていく技能が身につきやすく,自己評価も高まり,人生を有利に運べるようになると考える研究者もいる。しかし,高さが力を連想させることも理由の1つだ。その連想がはたらくため,ほかの条件がおおむね同じなら,背の高い人ほど力があるとみなされ,多くの権力と権威を手にする。そして,背の高い人が高い給料と地位を得る結果,高さが力を連想させる関係がますます強まる。

タルマ・ローベル 池村千秋(訳) (2015). 赤を身につけるとなぜもてるのか? 文藝春秋 pp.159

ビネの本を

かつて知能検査及び知能指数を批判的に検討していた私は,知能検査と知能指数を同一視し,数字で人間を管理して人の自由を侵害するとんでもない道具だと思っていた。「知能とは知能検査で測定したものである」というようなフレーズを操作的定義だとして信じている心理学者たちはどうかしていると思っていた。そして,その一番のもとになった知能検査を作った人,アルフレッド・ビネは,相当にトンデモナイことを考え,トンデモナイことをやった人なのだと思っていたのである。
 ところが,アルフレッド・ビネは,私が考えていたような検査手技,数値至上主義,測定主義者,操作的定義主義者ではなく,目の前の子どもを,自分の目で確かめて,その子の未来を展望するために何をすれば良いかを考える人物だった。日本で一体どれくらいの人が知能検査を用いているか知らないが,ビネの原典を読まずに用いることは厳しく禁止すべきであると,私は考えている。あるいは手前味噌,我田引水だが,拙著『IQを問う』を読んでから使うべきである。

サトウタツヤ (2015). 心理学の名著30 筑摩書房 pp.91

犯罪とパーソナリティ

1977年の時点では,児童の反社会的行動の説明に生物学的基盤を持ち出すことは一般的ではなかった。生物学的要因と社会的要因の相互作用に至っては,さらに受け入れられない考えであった。そのため,若き研究者だった私がバイオソーシャル的側面に焦点を置いた論文を最初に発表したときには,ほとんど誰にも相手にされなかった。しかし,イギリスの高名かつ論争好きの心理学者ハンス・アイゼンク[生まれはドイツだが,イギリスで研究していた]はすでに,著書『犯罪とパーソナリティ』で大胆にも,犯罪には生物学的基盤が存在すると示唆していた。論争が巻き起こったとはいえ,私は,彼の著書には「反社会化プロセス」という,自分の考えに関連はするが同じではない,とても興味深い概念が含まれていることに気づいた。以後この概念は,私の研究に深い影響を及ぼす。

エイドリアン・レイン 高橋 洋(訳) (2015). 暴力の解剖学:神経犯罪学への招待 紀伊國屋書店 pp.376

攻撃性のタイプ

ここで攻撃性のタイプの違いを考えてみよう。MAOA戦士遺伝子は,コントロールされた冷酷な暴力より,感情的で衝動的な,血気にはやる暴力を振るいやすい性格の形成に,とりわけ大きな役割を果たすのかもしれない。ハン・ブルナーは,オランダの親族の研究では,怒り,恐れ,フラストレーションに反応して生じる衝動的な形態の攻撃性が,より頻繁に見られたと報告している。ロサンゼルスで行なわれた研究も,この解釈に合致する。この研究では,低MAOA遺伝子を持つカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学生は,より攻撃的な性格のみならず,人間関係に過敏に反応する性格を持つことがわかった。つまり彼らは,感情的に傷つきやすい。また,社会的に排除されることに対して,脳がより強く反応した。これは,個人的な中傷によって彼らがいとも簡単に動揺することを意味する。

エイドリアン・レイン 高橋 洋(訳) (2015). 暴力の解剖学:神経犯罪学への招待 紀伊國屋書店 pp.90

攻撃性の遺伝

双子の研究は,攻撃性と暴力も遺伝することを示す。われわれは,攻撃性を反応的(reactive)なものと,先攻的な(proactive)ものに分類した。反応的な攻撃とは,誰かに殴られて殴り返したケースがそれにあたり,防御あるいは報復を目的とした攻撃を指す。この形態の攻撃性の遺伝率は38パーセントであった。それに対し先攻的な攻撃は,より卑劣で残酷なものを指し,たとえば誰かから何かを奪い取るときに行使される。この形態の攻撃性の遺伝率はいくぶん高く,50パーセントだった。この研究でも,環境の共有による影響は,どちらの形態の攻撃性に関してもごくわずかであり,実際のところ男子に関しては存在しなかった。

エイドリアン・レイン 高橋 洋(訳) (2015). 暴力の解剖学:神経犯罪学への招待 紀伊國屋書店 pp.70

睡眠タイプ

睡眠は日々の生活に欠かせない要素だが,詳しいメカニズムはほとんど解明されていない。わかっているのは,だれにとっても欠かせないということくらいだ。睡眠のパターンは一生のうちに変化するが,これはすべての生物に共通して言えることだ。乳幼児は「ひばり型」で,早寝早起き。若者は「ふくろう型」で遅く寝て遅く起きる。このような睡眠パターンをクロノタイプと呼び,「ひばり型」を「朝型」,「ふくろう型」を「夜型」と言う。睡眠パターンは脳のシグナルとホルモンの複雑な関係によってコントロールされており,シグナルとホルモンはどちらも成長に応じて調整されていく。大半の種では,青年期に夜更かししていても,おとなになると「早寝早起き」になる。
 つまり,ティーンは学校へ行くために,おとなのクロノタイプに合わせて,無理矢理,早起きしているのだ。しかし,早く起きたからと言って,早く寝るわけではない。夜になっても彼らの脳は調整されず,本来の夜型のクロノタイプに固執しがちだ。その結果,睡眠時間は短くなる。そして休日には,体内時計に命じられるまま,朝寝坊に戻る。好きなだけ寝ていていいと言われたら,彼らは一晩に9時間から10時間眠るだろう。しかし,学校へ行くために起きなければならず,常に1日2.75時間分の睡眠が足りないままだ。これが慢性睡眠不足症候群の原因と見なされている。

フランシス・ジェンセン エイミー・エリス・ナット 渡辺久子(訳) (2015). 10代の脳:反抗期と思春期の子どもにどう対処するか 文藝春秋 pp. 103-104
(Jensen, F. E. & Nutt, A. E. (2015). The teenage brain: A neuroscientist’s survival guide to raising adolescents and young adults. New York: Harper.)

拳を握れ

最後につけ加えておこう。パワフルなポーズをとる時間がない場合は,こぶしを握るだけでも効果がある。心理学者トーマス・シューバートは男性被験者を集め,各自に自信を感じる度合いを訊ねてから,じゃんけん遊びを装い,数秒間こぶしを握ってもらった。そのあとであらためて自信を感じる度合いを訊ねた。被験者の体はその脳の影響を受け,しばらくこぶしを握った男性たちの自信度は高まっていた。

リチャード・ワイズマン 木村博江(訳) (2013). その科学があなたを変える 文藝春秋 pp.280

姿勢と自信

そして,姿勢のとり方も自信に影響する。自信のある人は自分の可能性を信じており,リスクを恐れず,テストステロン(支配と結びつく化学物質)の割合が高く,コルチゾール(ストレスと結びつく化学物質)の割合が低い。では被験者に支配的な姿勢をとらせたら,どうなるだろう。それを調べるために,コロンビア大学のダナ・カーニー教授とそのチームは被験者を集め,新しい心拍計の性能を試したいので協力してほしいと話し,2つのグループに分けた。
 片方のグループは,支配を示す2つのパワフルなポーズのうち,どちらかをとらされた。1つはデスクの上に両足をのせ,両手を頭の後ろに組んで視線を上げるポーズ。もう1つはデスクの後ろに立って身を乗り出し,両手のひらをデスクにつけるポーズである。
 もう片方のグループは,パワフルでないポーズ2種類のうち,どちらかをとらされた。1つは両足を床につけ,両手を膝に置いて視線を床に落とすポーズ。もう1つは,立ったまま腕と脚を組むポーズである。
 ポーズをとり終わった1分後に,被験者は自分をどの程度「パワフル」で,「やる気満々」に感じているか,採点を頼まれた。彼らがとったポーズは,その自信にかなりの影響をあたえていた。「パワーのポーズ」をとった被験者はとらなかった被験者よりも自信が強くなっていたのだ。だが,それだけではない。
 続いて実験では,被験者がリスクを負う割合が試された。被験者めいめいに2ドルを渡し,それをとっておくか,コインを投げて裏表で賭けをするか尋ねたのだ。賭けに勝てばお金は倍の4ドルになるが,負ければゼロになる。「パワーのポーズは人を大胆にする」の仮説どおり,支配的なポーズをとった被験者は八割以上がお金を賭け,支配的なポーズをとらなかった被験者は六割しか賭けなかった。

リチャード・ワイズマン 木村博江(訳) (2013). その科学があなたを変える 文藝春秋 pp.278-280

特性・状況怒り

怒りについて話をするときは,”特性としての怒り”と”状況としての怒り”を区別しなければならない。前者は,絶えず怒りを感じているような傾向を指している。これは明らかに不健康な状態だと言える。だが状況的な怒りは,それとは大きく異なる。怒りの感情で問題に立ち向かう人は,人生満足度や幸福感などの尺度で測定する「心の知能指数」が高いことがわかっている。
 状況的な怒りは,起きるべきことと起きたことの間のギャップによって誘発される。これは,目的が誰かによって不当に妨害されたと感じるときに生じる怒りである。この怒りの成分には,不公平の感覚が含まれている。また,自分にはこの不公平を是正するために何かができるという感覚も,怒りを引き起こす重要な要因だ。不正を正すために状況を変えられるという見込みと,自分が行動すればそれは可能だという自信がなければ,怒りはブロックされる。それは怒りではなく,絶望につながるのである。

ポー・ブロンソン7アシュリー・メリーマン 小島 修(訳) (2014). 競争の科学:賢く戦い,結果を出す 実務教育出版 pp.244

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