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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   
カテゴリー「ことば・概念」の記事一覧

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余計なことばかり

世の中の,殆どのことは余計なことだ。余計なことが寄り集まってなるようになっている。受け入れれば幸となり,受けつけねば仇となる。所詮はそれだけのこと。禍福を定めるのは己自身
京極夏彦「嗤う伊右衛門」角川文庫 2001年 p.320

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自尊心と自己評価

 自尊心に似た概念として,「自己評価」があります。自己評価も自尊心と同義で使われることが多いようですが,厳密には自尊心は,全体としての自分自身の評価であるのに対し,自己評価は特定の領域における自己の評価として区別されます。
新谷 優 (2017). 自尊心からの解放:幸福をかなえる心理学 誠信書房 pp. 1-2

試されたことのない方法

フランシス・ベーコンは1620年の著作『ノヴム・オルガヌム』の中で,次のように述べた。
 かつて誰も成し遂げたことのないことを成し遂げようというなら,まだ試されたことのない方法を使わなければならない。誰かが使った方法で成功できると考えるのは,不健全な妄想であり,自己矛盾である。
 わたしはこの格言を強めて次のように述べたい。
 かつて誰も成し遂げたことのない,しかも成し遂げる価値のあることをしようというなら,これまで存在しなかった手段を使わなければならない。
 科学革命が起きるのは,新しい手段が生まれたとき——新しいテクノロジーが発明されたとき——なのだ。
セバスチャン・スン 青木薫(訳) (2015). コネクトーム:脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか 草思社 pp. 229-230

グループ・シンク

 イェール大学の心理学者アーヴィング・ジャニスが,1972年に集団思考(グループシンク)という言葉を考え出したとき,その主な特徴は次のようなものだと述べた。
1 画一性への圧力——集団の考え方や決定事項に反すると,脅迫あるいは実際に制裁などが行われ,疎外感を抱くようになる。
2 集団内での閉じた思考——これによって,いかなる疑念も合理化できるようになる。
3 集団の過大評価——自分の属している集団は強くて,賢くて,他の集団に比べ道義的に勝っていて,さらには不滅とさえ考える。
レン・フィッシャー 松浦俊輔(訳) (2012). 群れはなぜ同じ方向を目指すのか? 白揚社 pp. 136

オストラシズム

 ある争点を解決するために人々が集まって投票するという考え方は,2500年ほど前,古代ギリシャの都市国家アテネが西洋文明の基礎を築きつつあった頃から見られる。アテネの市民は政治家を選ぶにあたって,2つの見事な考えを採用していた—1つは,立候補した人が誰であれ,その全員の中から籤で選ぶこと。もう1つは,反対投票を行い,そこで多くの反対票を集めた者を追放することだった。
 反対投票は,オストラコンと呼ばれる陶器のかけらに,好ましくないと思う政治家の名前を記して行われた。票を投じたい市民は,指定された日にアテネの中心にある広場へ行きオストラコンを手渡し,それが集計される。投票総数が定足数である6000票に達した場合(投票権を持つ市民は約5万人いた),不幸にも最も多く票を集めた政治家は,10年間アテネへの出入りを禁じられることになる——これが陶片追放(オストラシズム)だ。
レン・フィッシャー 松浦俊輔(訳) (2012). 群れはなぜ同じ方向を目指すのか? 白揚社 pp. 127-128

わかりやすい事象で説明する

 どうやら私たちの大半には,変わったことや異常なことを,なじみ深くわかりやすい事象で説明する傾向が染みついているようだ。たとえば,近づいてくる竜巻の轟音は,列車が通過するときの音と間違われることが多い。また,竜巻以外には考えられないのに,その音が必ずしも警告にならない場合もある。サイエンスライターのビル・ブライソンは次のような話をしている——アイオワ州にいた祖父が,ある晩,「何億匹ものスズメバチ」が飛んでいるような音で目を覚ました。窓の外を覗いてみたが何も見えなかったのでベッドに戻ったが,翌朝目を覚ますと,自分の車が野外にあるのを見つけて驚いた。竜巻が通過して,車庫をまるごと吹き飛ばしていたのだ。
 それほど派手ではないがもっと悲劇的なことに,一酸化中毒なのに,気が遠くなるのを病気のせいだと思い,ガスの出どころから遠ざからないで死んでしまう人がいることもわかっている。
レン・フィッシャー 松浦俊輔(訳) (2012). 群れはなぜ同じ方向を目指すのか? 白揚社 pp. 90-91

public companyの意味

この議論を読んで,私が思い出したのは,アメリカ英語でpublic companyというのは上場企業,すなわち株式が公開されている株式会社のことをいうということである。よく大学生が,public companyを間違って公共企業と訳すことがある。確かに,イギリス英語では国有企業のことをいうようだが,国有企業も上場企業も,誰か特定の個人だけがもっているものではない,という点で英米の人にとってはある程度共通した認識なのだろう。しかし,日本語だと国有というのは,国という別の主体がもっているのであって,自分たちのものではない,という感じがする。



大竹文雄 (2017). 競争社会の歩き方 中央公論新社 pp. 48


残酷の意味

 このような相違は,「残酷」という言葉の意味・内容が,日本人とヨーロッパ人とではまるでちがうからである。動物愛護というと,日本人は,ともすれば,動物を人間と同じように扱い,動物を絶対に殺さないことだ,と考えやすい。なかには菜食主義を動物愛護の極致だと主張したりする人もたくさんある。


 欧米諸国の動物愛護運動は,そうではない。そこでは動物を殺すこと自体はけっして残酷ではない。残酷なのは不必要な苦痛をあたえることである。たとえば,「国際動物愛護協会」(ISPA)の設立趣意書には,つぎのような一節がある。


 老齢,疾病,無能その他で役にたたなくなった家畜を遺棄してはならない。獣医のてきとうな治療にまかせるべきである。そして,休息の場を与えるか,それができなければ安楽死さすべきである。


 事実,ヨーロッパ人なら,飼犬などの面倒をみきれなくなると,あっさりと殺してしまう。しかし,日本人はちがう。殺すのは残酷だと考え,だれかが拾ってくれるのをあてにして,生かしたまま捨てる。その結果は野犬の増加である。ヨーロッパ人にはこれがわからないという。かれらにとって,飼犬を野犬にするぐらい残酷なことはないのである。ちなみに,欧米諸国の動物愛護団体は,動物を安楽死さすための獣医をかかえているのがふつうである。



鯖田豊之 (1966). 肉食の思想 中央公論社 pp. 55-56


無視して構わない

 すばらしい。
 文句のつけようのない計画だ。
 なによりすばらしいのは,計画を立ててしまったいま,それを百パーセント完璧に無視してかまわないということだった。
ダグラス・アダムス 安原和見(訳) (2017). ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所 河出書房新社 pp. 217

カッコに入れてしまえば

 あの「扉」は「出口」だ。
 これでよし。
 答えのわからないものごとを相手にするときは,「  」に入れてしまえばうまく行くものなのだ。
ダグラス・アダムス 安原和見(訳) (2017). ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所 河出書房新社 pp. 61-62

チョーク

 「プレッシャーのもとでチョークする[硬くなる]」という言葉はこれまで耳にしたことがあるだろう。バスケットボールの試合で勝敗を決めるフリースローがはずれたときは「ブリック」すると言うし,ゴルフ・トーナメントで優勝できるはずの簡単なパットが途中で止まれば「イップス」だと言われ,コースの成績や大学の合否がかかっている重要な試験で失敗すれば,「クラック」すると言ったりする。さらに,いざ火事になると冷静に考えられず,避難訓練のときのように建物から脱出できなければ「パニック」になるとも言う。しかし,こうした言葉は実際には何を意味するのだろうか?
シアン・バイロック 東郷えりか(訳) (2011). なぜ本番でしくじるのか:プレッシャーに強い人と弱い人 河出書房新社 pp. 11-12

「さん」づけ

 ところで大学教員どうしで雑談していて,学生から「さん」づけで呼ばれたということが話題になったことがある。筆者もそう呼ばれたことがあり,「いくらなんでも」と思って当の学生に「そりゃないだろう,『先生』のほうがいいよ」と注意した。ただ,若い教員の中には親しみの表現として許容しているという人もいた。たしかに「さん」づけは距離を縮める効果があるし,そのほうが学生から親しみを感じてもらえるかなとは思うのだが,筆者は歳のせいか,なお抵抗感がある。もっとも,学生から「店長!」と「役職名」で呼ばれた経験もある。アルバイト先で店長に忠実に仕えている「成果」だろうか。
岡本真一郎 (2016). 悪意の心理学 中央公論新社 pp. 20

CAGEフレームワーク

 ゲマワットは,他国市場への進出にあたっては,CAGEフレームワーク,すなわち文化(Culture),政治や行政的制度(Administration),地理的要因(Geography),経済状態(Economics)の4つに分類される,彼我の距離や相違(Distance)をよく認識する必要があると説きます。
 その上で,集約化(Aggregation),現地化(Adaptation),裁定取引(Arbitrage)のいずれかの戦法,もしくはそれらのバランスをとることを勧めます。なお,裁定取引とは,違いを利用して一方から他方に商品やサービスを持ち込むことで,文化的側面では,安心・安全や健康に対する意識が高まっている国に,日本食を売り込むようなことを指します。
植村修一 (2018). “社風”の正体 日本経済新聞社 pp. 86

バカの増発敵増加

 アップルのCEOだった,スティーブ・ジョブズはよく「バカの爆発的増加」と呼ばれる現象について語っていた。つまり,初期の頃から会社にいる二流社員が昇進し,部署を統括するようになると,バカが社員を採用しなくちゃいけなくなる。バカはもちろん,バカを採りたがる。アップルでジョブズと働いたガイ・カワサキは,次のように述べている。「B級プレイヤーは,優越感を覚えたいからC級プレイヤーを雇う。そして,C級プレイヤーはD級プレイヤーを雇う」。これがバカの爆発的増加で,過去7年間にハブスポットで起こったことに違いない。
ダン・ライオンズ 長澤あかね(訳) (2017). スタートアップ・バブル:愚かな投資家と幼稚な起業家 講談社 pp. 124

クールエイドを飲む

 「クールエイドを飲む」というフレーズは,シリコンバレーでよく使われるが,普通の人が組織に飲み込まれ,熱狂的な信者に変わっていくプロセスをいう(訳注:1970年代に新興宗教の教祖がクールエイド風の飲み物を信者に与え,集団自殺した事件に絡め,「上の言うことをうのみにする」という意味で使われる)。アップルやグーグルは,クールエイド・ドリンカーだらけだと有名だが,IT系スタートアップ企業も,もれなくそんなふうらしい。うちの会社がしているのは単なる金もうけじゃない。ぼくらの仕事には意義や目的がある。うちの会社にはミッションがある,ぼくもそのミッションの一翼を担いたい——そう信じることが,こうした企業で働く大前提になっている。
 これが,カルトと呼ばれる集団に加わるのとどう違うのかは,はっきりしない。忠実な社員と洗脳されたカルト信者の何が違うのだろう?どこまでが前者で,どこからが後者なのだろう?境界線はあいまいだ。故意か偶然か,IT企業は,カルト教団とよく似た手法を採っているらしい。独自の言語をつくっているのも,その一例だろう。
ダン・ライオンズ 長澤あかね(訳) (2017). スタートアップ・バブル:愚かな投資家と幼稚な起業家 講談社 pp. 88

ホット・リーディング

 コールド・リーディングは,何の予備知識もなく,まったく知らない相手にリーディングを提供するテクニックに関わるものだ。これに対し,「ホット・リーディング」あるいは「ウォーム・リーディング」というのは,リーディングの前に相談者に関する情報を密かに集めることを指す業界用語だ。私はこの分野を調べてみて,相手に覚られずに前もっていかに多くの情報を集められるかを知って本当に驚いた。マジシャン,詐欺師,探偵など,偵察行動に関わる商売をしているものはみな,密かに個人情報を集める優れた方法をいくつも開発している。
イアン・ローランド 福岡洋一(訳) (2011). コールド・リーディング:人の心を一瞬でつかむ技術 楽工社 pp. 375

抜け道がある

 的中しなかった方はどうするのか?サイキックの予言をわざわざ記録しておき,外れた例を突きつけて面目を失わせようとする人はめったにいない。万一そういう事態になっても,サイキックにはいくつかの逃げ道がある。予言内容が間違って伝えられている,あるいは一部分だけを取り出して引用されたと主張するのがその一つだ。また,予言をしたときの報告の仕方は不正確だったが,予言そのものは正しかった,と主張することもできる。しかし,もっとも単純で効果的な防御法は,にこやかに笑って間違いを認め,それは大した問題ではないと指摘することだ。たとえばこんなふうに。
 [例]「ええ,確かに私の予言には,一つか二つ間違いが含まれていました。ここには解釈のプロセスが関わっていますが,ときとして解釈するのが非常に難しいことがあるのです。私はけっして間違いを犯さないと主張したことはありませんよね?でも,間違うことより当たることのほうがずっと多いのは分かっています。だから役に立つのです」
イアン・ローランド 福岡洋一(訳) (2011). コールド・リーディング:人の心を一瞬でつかむ技術 楽工社 pp. 175-176

相談者が意味を提供する

 「幼児の記憶」が単純すぎて効果的でない場合のために,コールド・リーディングの心理学におけるもう一つの側面について述べておきたい。リーディングがうまくいっているとき,大部分の言葉を語るのはサイキックだが,大部分の意味と,すべての意義を提供するのは相談者だ。
イアン・ローランド 福岡洋一(訳) (2011). コールド・リーディング:人の心を一瞬でつかむ技術 楽工社 pp. 120

森ごと焼き払う

 たしかに不正行為は許せない。当たり前の感情だ。誰かが不正に手を染めれば,同じくその陰で苦しむ人間がいる。損をする人間がいる。だからといって,その世界を綺麗にするために,森ごと焼き払うようなやり方は正しいのか。
下村敦史 (2018). 黙過 徳間書店 pp. 164

分散的水やり

 私は,分散効果と聞くとロサンゼルスでの芝の手入れを思い浮かべる。ロサンゼルスは海沿いにある街だが,湿度が低く雨もほとんど降らない。そして,この街には芝を美しい状態に維持する慣習がある。私はそこに住んでいた7年のあいだに,芝の緑を維持するためには,週に1回1時間半の散水よりも,週に3回30分散水するほうが効率的だと学んだ。芝を水浸しにすると,翌日は芝が多少活き活きしたように見えるが,その輝きはすぐに失われる。一方,数日おきに適量の水を与えていれば,隣人に会っても伏し目がちにならずにすむ。水の量は,週に1回のときと同じか,それよりも少なくすむ。分散学習もこれと同じだ。勉強時間を分散させるからといって,勉強時間は増えない。より多くの努力が必要になるわけでもない。にもかかわらず,覚えたことをより長く記憶にとどめておけるようになるのだ。
ベネディクト・キャリー 花塚 恵(訳) (2015). 脳が認める勉強法:「学習の科学」が明かす驚きの真実! ダイヤモンド社 pp. 98

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