2012.05.20 Sun
チャールズ・ダーウィンの最後にしてもっとも知られざる著書は,特に物議をかもすようなものではなかった。1882年に死去する1年前に刊行されたこの本は,ミミズがいかにして泥と朽ち葉を土壌に変化させるかを主題とするものだった。この最後の著作にダーウィンが記録したことは,一生かけてつまらない観察をしたと思われかねないものだ。それともダーウィンは,この世界の根幹に関わる何かを発見したのだろうか——晩年を費やしても後世に伝えねばならないと思う何かを。耄碌して書いた珍妙な著作として片づける批判的な者もあったが,ダーウィンのミミズに関する本は,私たちの足元の大地がミミズの体を通じていかに循環しているか,ミミズがイギリスの田園をいかに形成しているかを探るものだった。
デイビッド・モンゴメリー 片岡夏実(訳) (2010). 土の文明史:ローマ帝国,マヤ文明を滅ぼし,米国,中国を衰退させる土の話 築地書館 pp.10
デイビッド・モンゴメリー 片岡夏実(訳) (2010). 土の文明史:ローマ帝国,マヤ文明を滅ぼし,米国,中国を衰退させる土の話 築地書館 pp.10
2012.05.20 Sun
おおまかに言って,多くの文明の歴史は共通の筋をたどっている。最初,肥沃な谷床での農業によって人口が増え,それがある点に達すると傾斜地での耕作に頼るようになる。植物が切り払われ,継続的に耕起することでむき出しの土壌が雨と流水にさらされるようになると,続いて地質学的な意味では急速な斜面の土壌侵食が起きる。その後の数世紀で農業はますます集約化し,そのために養分不足や土壌の喪失が発生すると,収量が低下したり新しい土地が手に入らなくなって,地域の住民を圧迫する。やがて土壌劣化によって,農業生産力が急増する人口を支えるには不十分となり,文明全体が破綻へと向かう。同様の筋書きが孤立した小島の社会にも,広大で超地域的な帝国にも当てはまるらしいということは,本質的に重要な現象を示唆する。土壌侵食が土壌形成を上回る速度で進むと,その繁栄の基礎——すなわち土壌——を保全できなかった文明は寿命を縮めるのだ。
デイビッド・モンゴメリー 片岡夏実(訳) (2010). 土の文明史:ローマ帝国,マヤ文明を滅ぼし,米国,中国を衰退させる土の話 築地書館 pp.8
デイビッド・モンゴメリー 片岡夏実(訳) (2010). 土の文明史:ローマ帝国,マヤ文明を滅ぼし,米国,中国を衰退させる土の話 築地書館 pp.8
2012.05.19 Sat
仮にセ・リーグの先発投手が全試合6回2失点を続けたとしましょう。そうすれば防御率は3.00。6回3失点なら4.50です。
一方で,セ・リーグなら代えられてしまう6回2,3失点でも,DHのない(引用者注:「ある」の誤植?)パ・リーグは打順の巡り合わせに悩むことなく投手を可能な限り投げさせることができます。そうすると残り2回をきちんと抑え,8回2失点を続けた場合防御率は2.25,3失点を続けた場合3.38となると,約1点の防御率の開きが出てきてしまうのです。
北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有や埼玉西武ライオンズの涌井秀章などは4点取られても完投してしまうゲームがざらにあります。こうしたシステムによってパ・リーグの先発投手には「完投して当然」とまではいかなくても,6回でKOという感覚で投げている投手は少ないでしょう。ですから,その数字上のデータだけを見てパ・リーグの投手の方が優れている,という指摘は,ちょっと違うのではないかと思います。ただ,こういった環境にいるため,パ・リーグの方が体もメンタルも強い選手が生まれているということはあるかもしれません。
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.144-145
一方で,セ・リーグなら代えられてしまう6回2,3失点でも,DHのない(引用者注:「ある」の誤植?)パ・リーグは打順の巡り合わせに悩むことなく投手を可能な限り投げさせることができます。そうすると残り2回をきちんと抑え,8回2失点を続けた場合防御率は2.25,3失点を続けた場合3.38となると,約1点の防御率の開きが出てきてしまうのです。
北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有や埼玉西武ライオンズの涌井秀章などは4点取られても完投してしまうゲームがざらにあります。こうしたシステムによってパ・リーグの先発投手には「完投して当然」とまではいかなくても,6回でKOという感覚で投げている投手は少ないでしょう。ですから,その数字上のデータだけを見てパ・リーグの投手の方が優れている,という指摘は,ちょっと違うのではないかと思います。ただ,こういった環境にいるため,パ・リーグの方が体もメンタルも強い選手が生まれているということはあるかもしれません。
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.144-145
2012.05.19 Sat
2010年4月27日の巨人戦でのこと。2回裏のドラゴンズの攻撃が始まる直前,落合監督は球審の森健次郎さんのところへ歩み寄り何かを告げると,森さんはグラウンドを後にしました。実は極度の体調不良だったのです。これにいち早く気づいた落合監督は,「ヘタしたらゲーム中に倒れていた。そうなればゲームが中止になっていたかもしれない。それを見てあげるのも俺らの仕事じゃないのか」と試合後に話していましたが,これにはさすがに驚きました。審判の動きまでチェックしている監督など聞いたことがありません。きっと,試合前からその異変に気づいていたのだと思いますが……。とにかく普通の人ならば気がつかないようなところをチェックし,常に広い視野で目を光らせているというのは間違いありません。落合博満という監督を表すひとつの好例といえるでしょう。
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.101-102
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.101-102
2012.05.18 Fri
このように私の現役時代はもとより,ドラゴンズの選手たち,特にベテランになればなるほどコンディションづくりに関して,開幕=ピークとは考えていないのです。選手個人によって調子がピークになる時期はそれぞれですが,ドラゴンズの場合,チーム内で見ても総じてスロースターターの選手が多いですよね。特に野手に関しては,春先はパッとしない成績だったが,気がつけば最低限の数字を残している選手が少なくありません
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.25
今中慎二 (2010). 中日ドラゴンズ論:“不気味”さに隠された勝利の方程式 KKベストセラーズ pp.25
2012.05.18 Fri
我々の使うコトバは,我々の心身機能という自然の何らかの反映である。従って,コトバを使ういかなる分類も,何らかの形で自然の秩序を反映しているに違いない。故に,すべての分類はある意味では自然分類である。そこで何が最も自然かと言えば,最も沢山の人々に受け入れられる分類体系が,最もよい自然分類体系ということになる。このようにして沢山の人々に受け入れられた分類体系は,ある時代と地域の人々の思想・文化そのものとなる。
池田清彦 (1992). 分類という思想 新潮社 pp.214
池田清彦 (1992). 分類という思想 新潮社 pp.214