ロバーツが三尊型天井というのは,第30週目あたりで475を天井[ヘッド]とし,その右側と左側により低い2つの天井[ショルダーズ]があることを意味している。ここではひ弱なショルダーではあるが,このような形状はテクニシャンにとってこのうえない材料である。テクニシャンたちの信じるところによれば,この図で第37週目に「株価」が455を切って下がりはじめたように,この形状の襟足に当たるところを切って株価が下がりはじめると相場は軟化することになっている。逆三尊型のパターンの場合では,株価が襟足を越えて上がりはじめると相場は好調に向かうというわけだ。有名なテクニシャンのウィリアム・シャインマンが最近次のように述べている。「ダウ・ジョーンズ平均株価は逆三尊形状の襟足に当たる2650〜2675の範囲をなかなか突き抜けないが……それでも相場がこの水準を乗り越えていくための機は熟していると我々は考えている」。
ロバーツが示したのは,テクニカル分析で使われる古典的なパターンのほとんどすべては,「正確なルーレット盤や乱数表を使った人工的な」偶然によっても生み出されうるということである。
ピーター・L・バーンスタイン 青山護・山口勝業 (2006).証券投資の思想革命(普及版) pp.149-150
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