忍者ブログ

I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

サミュエルソンがハーバードを去った理由

 なぜサミュエルソンは,多くの俊才と影響力を誇った絶頂期のハーバード大学経済学部を去って,経済学の地位がまだ低かったMITに移ったのだろうか?彼が言うには,移籍したのには2つの理由があったからだという。
 1つには,「もっと高い給料をやると言われたから」である。
 しかし,もっと深い理由があった。たしかにハーバードで経済学理論の講座を持つには彼の能力が及ばないなどと思っている者はいなかったし,彼自身も決してそう思わなかったが,かといって彼が去ることになっても「[同大学にとって]修復できないほどの痛手にはならないだろう」と彼自身は感じていた。なぜだろうか?反ユダヤ主義であろうか?この問いに対するサミュエルソンの1983年の返答は,「たぶんそれが最も単純な説明であろうが,……もし単純な仮説がすべての事実を説明し切れない場合には,その仮説を信じる必要はないと思う」というものだった。第二次世界大戦前のアメリカの大学では,今日では考えられないほど反ユダヤ人の雰囲気があったが,ユダヤ人でなくても例えば「カンザス州出身である」というだけで田舎者扱いされて,当時のハーバードで終身教授の座を得られなかった優秀な学者仲間がいた,と彼は指摘している。「現実の複雑さは1つの要因では説明し切れないものだ」とサミュエルソンは移籍の理由を要約している。

ピーター・L・バーンスタイン 青山護・山口勝業 (2006).証券投資の思想革命(普及版) p.169
PR

TRACKBACK

Trackback URL:

bitFlyer ビットコインを始めるなら安心・安全な取引所で

Copyright ©  -- I'm Standing on the Shoulders of Giants. --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Photo by Geralt / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]