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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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株式市場とは

 株式市場とは,たんに企業の所有権の断片を売ったり買ったりする場所だけではない。それは,たんに我々の貯蓄のはけ口だけではなく,また,より多くの資本を求めている企業が資金調達をする源泉だけではない。巨大企業の価値を測るための道具だけではない。また,固定された資本資産を換金可能な流動的な形態に変換する手段というだけではない。
 株式市場はこれらのすべてである。どの1つをとっても,ほかのすべての機能なくしては,その役割を果たさない。もしも市場が売手と買手を出会わせることがなかったら,株式には流動性がなく,売りまたは買いの取引はもはや容易にはその逆取引を行うことができなくなる。もしも株式の流動性がなかったら,発行企業にとっては資金調達のコストがはるかに高くなり,その結果,成長も鈍化するであろう。もし市場が企業の所有権の一部を取引する場でなかったならば,そこで取引されている株式会社の価値を測ることがなかったとすれば,発行済の株式を売買したり新規に発行される株式を取得しようとする人々はいなくなるであろう。
 もし株式市場がなかったら,企業の所有権の市場はあたかも住宅の市場のようになってしまう。住宅の売手が売りに出すのは,その家の一部だけでなく,まるごと一軒である。仲介業者が転売のために自分の資金で購入するのはきわめてまれである。売手は広告を出さなければならないし,取引相手をみつけるためにはもっと手間のかかる方法をとらなければならない。不動産業者が6%もの手数料をとるのもうなずける(株式の取引ではふつう1%以下である)。また,取引に長い価格交渉がかかるのも当然である。1つの家が売れた後でその取引価格がいくらだったかを正確に知っているのは,本人と親しい友人だけである。取引の頻度は少なく,ある取引から次の取引までには時間が空いている。不動産の取引はこのように困難で,コストが高く,頻度が少なく,そして秘密のままに行われるので,買手も売手も自分たちが合意した価格がはたして妥当な価格だったかどうかほとんどわからないし,他の誰かともっと条件のよい売買ができたはずだったかどうかもわからない。

ピーター・L・バーンスタイン 青山護・山口勝業 (2006).証券投資の思想革命(普及版) pp.444-445
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