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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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確率と確定する現実

 氷河,星雲,ハリケーン,人間社会,生物種,有性生殖の個体や細胞の1つひとつはすべてユニークな(唯一無二の)存在である。どれもがさまざまな要素によって成り立っており,さまざまな要素の影響下にあるからである。これに対して,物理学者の研究対象である素粒子や同位体や,化学者の研究対象である分子は,種類が同じであればどれも特性は同じである。しかし,生物学者や歴史学者は,統計的な傾向しか引き出せない。私は常に高い確率で,自分が働くカリフォルニア大学メディカルセンターでこれから生まれる1000人の赤ちゃんのうち,480人以上520人以下が男児であると予測できる。しかし,私は,自分の2人の子どもが男児であることを予測できなかった。同様に,歴史学者は,人口が充分あって密度の稠密な,余剰食糧の蓄積が可能な部族社会(トライブ)は,そうでない部族社会よりも,首長社会(チーフダム)に発展する可能性が高いということはいえる。しかし,異なる地域には異なる人びとが存在しているので,メキシコの高地やグアテマラやペルーやマダガスカルで首長社会が誕生することはあっても,ニューギニアやガダルカナルで誕生することはなかった。

ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰(訳) (2000). 銃・病原菌・鉄 下巻 草思社 pp.324-325
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