アブダクティーの研究から見えてきたいちばんのポイントは,わたしたちの多くは神のような存在とのコンタクトを求めていて,エイリアンは,科学と宗教との矛盾に折り合いをつける方法なのだということだ。わたしは,ユングの「地球外生物は科学技術の天使である」という言葉に賛成する。
アブダクションを信じることによって得られるものは,世界中の多くの人たちが宗教から得ているものと同じであることは明らかだ。人生の意義,安心,神の啓示,精神性,新しい自分。正直言って,わたしもいくらかほしいと思うものもある。アブダクションの信奉は,事実ではなく信仰に基づいた宗教の教義のひとつだと考えることができそうだ。実際,多くの科学的なデータが,ビリーバーは心理的な恩恵を受けていることを示している。彼らは,そういうものを信じていない人より,幸せで健康で人生に希望を持っている。わたしたちは,科学や技術が幅を利かせ,伝統的な宗教が批判される時代に生きている。天使や神に宇宙服を着せ,エイリアンとして登場させたら納得がいくのではないだろうか?
スーザン・A・クランシー 林雅代(訳) (2006). なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか 早川書房 p.222-223.
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