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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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フェミニズムの2派

哲学者のクリスティーナ・ホフ・ソマーズは著書『だれがフェミニズムを乗っ取ったのか(Who Stole Feminism?)』のなかで,フェミニズムの2つの派に有用な区別をつけ,その相違点を指摘した。「エクイティ・フェミニズム」は性差別や,女性に対するそのほかのかたちの不公正さに反対する。このフェミニズムは啓蒙期から発展した古典的な自由主義と人道主義の伝統の一部であり,フェミニズムの第一派を導き,第二波を立ち上げた。「ジェンダー・フェミニズム」は,女性は依然として,広く存在する男性優位のシステムによって奴隷化されており,そのジェンダー・システムが「バイセクシュアルの乳児を,一方が命令して他方がしたがう男性と女性のジェンダー・パーソナリティに変えてしまう」と考えている。このフェミニズムは古典的な自由主義の伝統に反対し,マルクス主義やポストモダニズムや社会構築主義やラディカル・サイエンスと同盟している。そして,一部の女性学研究やフェミニズム団体や女性運動の代弁者の信条となっている。
 エクイティ・フェミニズムは,平等な処遇についての道徳上の主義であり,心理学や生物学の経験的な問題にはかかわらない。ジェンダー・フェミニズムは,人間の本性についての3つの主張を持つ経験的な主義である。1つは,男女の差異は生物学的要素とは無関係で,すべて社会的に構築されたものであるという主張。2つめは,人間の社会的動機はただ1つ,権力であり,社会生活は権力がどのように行使されているかという観点からのみ理解できるという主張。そして3つめは,人間の相互関係は,たがいに個人として対処しあう人びとの動機から生じるのではなく,ほかの集団に対処する集団ーーこの場合は,ジェンダーとしての女性を支配するジェンダーとしての男性ーーの動機から生じるという主張である。

スティーブン・ピンカー 山下篤子(訳) (2004). 人間の本性を考える[下] 心は「空白の石版」か 日本放送出版協会 p.116-117.
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