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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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知能は思想

 現行の知能概念が,人間にのみ生得的理性が賦与され,したがって自然界は知性の優劣により秩序づけられるという神人同型説を出発点としているかぎり,グールドが厳しく告発するように,常に人種差別的合理化の企てとして機能してきた一面はとうてい否定し難い。このような事情に日本の研究者はあまりにも無知であり,知能やIQをたんに理論的・抽象的概念として,また探求に値する真理としてしかみてこなかったのは素朴に過ぎることだった。知能とは——イギリス学派の実体観とはうらはらに——まさしく一種の思想であり観念である。ある社会階層の利害の代弁者という意味でなら,イデオロギーと呼ぶにふさわしい。

藤永 保 (1991). 思想と人格:人格心理学への途 筑摩書房 pp.79-80
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