幼い子どもたちは大変無邪気なので嘘などつけないと思っている人たちがいる。また,嘘をつくことが可能ならばそうするだろうが,その能力に欠けていると考える人たちもいる。証拠が示すところでは,子どもたちは,大部分の大人たちが考えているより早い段階で嘘をつく能力を身につける。
ある子どもたちは,4歳になる頃までに,あるいはもっとい早い段階から嘘をつくことができるようになり,実際に嘘をつく。そういう子たちは,単に間違いを犯したり空想を現実と取り違えたりしているのではなく,意図的に欺こうとしているのだ。
この年齢での嘘は,取り立てて困った問題というわけではない。子どもたちは皆,そして大部分の大人たちも,時には嘘をつく。しかしながら,子どもが頻繁に嘘をつく場合,とりわけ長期間にわたって嘘が認められる場合には,親は心配して然るべきである。最初に嘘が発覚した時,親は嘘をつくことで生じる道徳的な問題を子どもと話し合うべきだ。
ポール・エクマン 菅靖彦(訳) (2009). 子どもはなぜ嘘をつくのか 河出書房新社 pp.116
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