重要なのは,4歳という幼い時分から,ひょっとするともっと早くから,誰かを欺こうとする意図を抱くのは悪いことだというのを子どもたちが知っているという点だ。ごく幼い子どもたちは,年上の子どもたちや大人たちよりも嘘を非難する。とある研究者の言葉を借りれば,幼い子どもたちは“真実の狂信者”なのだ。確かに,幼い子どもたちは年上の子どもたちよりも,嘘をよくないことだと考えることが多い。たとえば,5歳児のうち92パーセントが,嘘をつくのはつねに良くないことだと述べた。だが,11歳になる頃までには,この数字はたったの28パーセントに減少していた。また,そうした変化に応じて,5歳児ではその75パーセントが自分は決して嘘をつかないと述べたのに対し,11歳の子どもたちでは,そんなふうに自らの美徳を言い立てる者は1人としていなかった。
ポール・エクマン 菅靖彦(訳) (2009). 子どもはなぜ嘘をつくのか 河出書房新社 pp.124
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