要するに,大事なのは新型インフルエンザかそうでないか,という点ではなく,患者さんが重症かどうか,です。その一点が大事なのです。たとえ新型インフルエンザであっても,比較的軽症で元気ならば,家でじっとしておいたほうがいいのです。病院に来なくてもいいでしょうし,たとえ来院しても入院する必要はないはずです。
アメリカやオランダの新型インフルエンザガイドラインでも,全員入院,という推奨はしていません。
日本の問題点は,病気を病原体だけで分類していることにあります。軽症でも重症でも新型インフルエンザなら入院させましょう,という考え方がその最たるものです。でも,感染症でほんとうに大事なのは病原体ではなく患者さんのほうです。患者さんが入院を必要としているかそうでないか。それはその人の体にもっている病原体ではなく,その患者さんが入院治療を必要としているか,重症かどうかが決定するのです。
岩田健太郎 (2009). 麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか 亜紀書房 p.84
PR