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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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人間の場合には#2・・・

 食べ物に含まれているカロテノイドなどの抗酸化物質が,病気の予防を助けてくれるのは確かだ。カロテノイドに富んだ食事をした人たちが,がんなどの病気にかかりにくくなったという研究結果はたくさんある。また,特にベータカロチンのサプリメントは,細胞性免疫の反応を助ける。特に免疫系が弱っている高齢者や,食事で十分な栄養がとれないことが多い人には,効果があるだろう。
 だが,これが美しさを増すことにつながるかというと,疑問に感じる。ましてや自分が健康であることを見かけで異性に伝えるのは,さらにありそうにないことだ。オウゴンヒワやヤケイとちがって,人間には,黄色い羽毛や赤い肉垂のような,カロテノイド由来のはっきりした形質はない。カロテノイドがしわに効くかどうかは定かでないが,進化の観点からすると、しわなどはどうでもいいことだ。しわができるのは,生殖に最も適した時期に入ってかなりたったころか,その時期を過ぎてからのことがふつうだ。特に初期の人類は,子づくりにつながる配偶相手の選択は,生涯のかなり早い時期に行われた。だから,恋人を見つけるときに「しわがない」という基準だけで選ぶのは,子づくりの能力が高い相手を選ぶことにはつながるかもしれないが,候補者の絞り込みにはあまり役立たないだろう。年齢よりも若く見せて相手をだますのが有効なのかどうかは,また別の問題だが。

マーリーン・ズック 藤原多伽夫(訳) (2009). 考える寄生体:戦略・進化・選択 東洋書林 pp.234-235
(Marlene Zuk (2007). Riddled with Life: Friendly Worms, Ladybug Sex, and the Parasites That Make Us Who We Are. Orland: Houghton Mifflin Harcourt.)
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