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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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水中進化説について

 二足歩行が水中の歩行,および泳ぐことによって起こった適応だというアイデアは,私にはなかなか良いものに思える。体毛がない,皮下脂肪が厚い,体長の割りに足が長い,鼻が下を向いているなど,他の霊長類にない人間の解剖学的特徴も水中環境で生きていたというアイデアに合致するようだ。これらの特徴は地面の上だけで生きていたというアイデアにはあまり一致しない。一方で,二足歩行はさまざまな災いも呼んできた。静脈瘤,痔,腰痛,そして膝や背骨の痛みである。たぶん,昔のように砂浜のそばで生活した方が,私達はよっぽど幸せになれるだろう。
 だが,すべての証拠が水中説を支持しているわけではない。アウストラロピテクス・アファレンシスは3つの場所で発見された。3つの場所はそれぞれ異なる地域に属する。タンザニアのラエトリ,エチオピアのハダー,チャドのバー・エル・ガザルである。最後の2つは湖や川の近くだが,ラエトリは水源の近くではないようだ。このように初期ホミニンが非常に広い範囲で見つかっていることを考えると,私たちはまるで落ち着きがなく,よく移動したようだ。しかも,変化に富んだ環境をさまざまに行き来できるくらい多才だったと考えられる。そして200万年前頃になると,たくさんのホミニンがアフリカを出て,さらにバラエティーに富んだ環境に暮らすようになった。さまざまな状況に適応できる能力は,祖先から引き継いだ本当に素晴らしい財産である。

マイケル・コーバリス 大久保街亜(訳) (2008).言葉は身振りから進化した:進化心理学が探る言語の起源 勁草書房 pp.124-125
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