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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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オーストラリアの食料生産上のリスク

 オーストラリアでは,農業も起こらなかった。オーストラリアは,世界の大陸のなかでもっとも乾燥した大陸であるばかりでなく,土壌がもっとも不毛な大陸である。さらに,オーストラリアでは,他の大陸のように気候が季節が1年周期で変化しない。オーストラリアの気候は,エルニーニョ。南方振動(ENSO)(訳注:南太平洋にあるタヒチ島とオーストラリアの北部にあるダーウィンの気圧が振動する現象)の影響で,1年周期ではなく,数年周期で不規則に変化する。予測不能の厳しい旱魃が,予測不能の豪雨と洪水をはさんで,何年間か続いたりするのだ。そのため,ユーラシア種の作物を栽培し,収穫物をトラックや列車で運搬するようになった現在でも,オーストラリアでの食料生産にはリスクがつきまとう。順調な気候が続くあいだに何年かかけて育てた家畜を,旱魃で一度に失ってしまうこともある。もしも,アボリジニが農業を営んでいたら,この不順な天候によって同じ問題に直面していたであろう。順調な気候が続くあいだに村に定住し,作物を栽培し,子供を産み育て,集団の人口が増加したとしても,旱魃がめぐってくれば,集団の人口を養うだけの食料が確保できず,多くの人びとが飢え死にしてしまったことだろう。

ジャレド・ダイアモンド 倉骨彰(訳) (2000). 銃・病原菌・鉄 下巻 草思社 pp.148-149
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