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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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中身のない治療法

 プラセボ効果に大きく頼った治療法は,早い話が中身はなく,メスマーの磁化水やパーキンスのトラクターに通じる。鍼は,患者が信じなければ効果がないので,もしも最新の研究結果が広く知れわたるようになれば,鍼を信じる気持ちがなくなり,プラセボ効果がほとんど消えてしまう患者も出てくるだろう。そうなっては困るから,鍼がまとっている神秘的な雰囲気が消えないよう,そしてその威力が失われないよう,みんなで共謀して事実に口をつぐみ,患者がこれからも鍼の効果を得られるようにすべきだ,と主張する人もいるかもしれない。一方,患者に間違った考えをもたせておくことは根本的に誤りであり,プラセボ治療を行うことは倫理にもとると考える人もいるだろう。

サイモン・シン&エツァート・エルンスト 青木薫(訳) (2010). 代替医療のトリック 新潮社 pp.119-120
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