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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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神経質になりすぎ

 個人の遺伝情報はきっちり保護されなくてはならない——これは他の医療データや個人データと同様だ——が,遺伝子検査が悪用される可能性に対する懸念は,現状においては,その効果を大げさに考えすぎていることから生じたもののようだ。コロンビア大学のジョセフ・ターウィリガーは「科学者がさまざまな方法でゲノムの情報を,あるいは少なくともゲノムについて知っていることを誇大宣伝しすぎたため,今や人々はゲノムが社会に与えそうな影響について,不必要なほど神経質になるに至っている」。遺伝子は運命ではなく,前兆や前触れはたいてい漠然としていて,人をだます場合もある。遺伝子の役割は,ヨハネス・ケプラーが星に与えたものと似ている。「人が誕生した瞬間の空の様相が,どのようにその人の性格を決めるのだろうか。農民が畑のカボチャの周囲に適当に結ぶひもの輪のように,生涯を通じてその人に働きかけるのだ。輪はカボチャを育てるわけではないが,その形を決める。同じことが空にも言える。空が人に癖や履歴,幸福,子供,富,あるいは妻を与えるわけではないが,その人の状態をつくり上げる」。占星術その他さまざまな形の予測と同様,遺伝子検査とカウンセリングは間違いなくおいしいビジネスになる。2003年の《ネイチャー・ジェネティクス》誌の記事はこう述べている。「遺伝子にまつわる予測力と神秘性,自分の健康を管理して病気を予防したいという消費者の願望,そしてインターネットで容易に検査を宣伝したり注文したりできる利便性が相まって,企業を遺伝子分析の開発と推進に駆り立てている。検査が実証されて有用と証明されたかどうかは関係ない」。

デイヴィッド・オレル 大田直子・鍛原多恵子・熊谷玲美・松井信彦(訳) (2010). 明日をどこまで計算できるか?「予測する科学」の歴史と可能性 早川書房 pp.235-236
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