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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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海でも

 頂点捕食者の衰退は海にも及び,大型の海の捕食者は,食べ物をめぐって競いあうどころか,自分が食べられる立場になった。
 ニシマダラはニューイングランド一体の発展を支えた魚であり,西大西洋諸国にとって通貨に等しかった。かつては2メートル近い怪物が群れをなして泳ぎ,数も非常に多く,1497年には海洋探検家のジョン・カボットが,バケツですくえばいくらでも獲れる,と記している。しかし,1920年代にバケツと釣り針の代わりにトロール網が使われるようになると,タラは姿を消しはじめた。1960年代までに北欧の海からカナダのグランドバンクスやメイン湾まで,タラという資源は枯渇し,タラに依存する経済は破綻した。現在,限られた場所ではまだ漁が成り立っているが,水揚げされるタラの平均的な大きさは30センチそこそこだ。
 大西洋のクロマグロは,体重500キロ,最高速度が時速80キロに達する雄々しい魚雷である。大洋をいくつも横断し,パワフルに突進して小魚を捕らえるが,最後には冷凍された厚板となって,東京の大規模な魚市場で寿司ネタとして売られる。極上のクロマグロ1本の市場価格は,ときに6万ドルにもなる。30年前は西大西洋に約25万匹いたが,現在は2万2000匹程度しかいない。

ウィリアム・ソウルゼンバーグ 野中香方子(訳) (2010). 捕食者なき世界 文藝春秋 pp.79-80
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