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I'm Standing on the Shoulders of Giants.

読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。

   

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在ることにする

 「言う前にねェだろ」
 この世には神も仏もない。又市はその点に関しては疑ったことがない。身に染みている。
 在りません,と堂庵も言った。
 「でも,在ることにする。例えば,儒者は親を敬う。親の親は更に敬う。親の親の親然り。親の親の親のそのまた親は——」
 「居ねえだろ。死んでるよ。俺なんざ親が居ねェや」
 「はい,死んでます。居ませんな。つまり,親を敬う心は,敷衍すれば先祖を敬う心となる。でも,先祖はもう居ない——ない訳ですな。ないものを敬うことは,これ難しいことだ。でもね,この先祖を敬う気持ちというのが,まあ大概簡単に言ってしまえば,国を造り家を栄えさせる基本になる。生きて行く礎となる」

京極夏彦 (2009). 前巷説百物語 角川書店 pp.340
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